Denali's Room 一語一絵

旅と猫とあんことスイカを愛する絵描き、デナリこと大野舞が日々をつづっています。

2005年09月

ShowLetter.jpg無事に帰ってきております。

帰還した瞬間に旅は全て夢だったかのように
日常と仕事が押し寄せて アワアワしておりましたが
それでもやっぱり戻ってくると 空気がすっと身体になじむ安心感があります。
それは、冬が終わってクロゼットの中に眠っていたお気に入りのコート、夏の間は全くそのことについて考えないのに、また冬がやってきて袖を通すと当たり前のようにしっくりくるのと似ています。

ずっと携帯から更新していたのでコメントにお返事するのが遅くなってしまいました。たくさんのコメントありがとうございました。まだ、載せ切れてない写真もたくさんあるので、ぽちぽちご紹介していけたらと思います。

さあ、いろいろ頑張らねばー!

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今から帰ります。
こんなよく分からない、なんの参考にもならないであろう旅行記にお付き合いいただきありがとうございました!

最後の写真はコペンハーゲン中央駅。すごくかっこいい駅です。

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国立新劇場へ行ってみたらミュージカル「美女と野獣」をやっていたので、つい見てしまいました。どこに行っても舞台に惹かれてしまうのです。これがまた素晴らしく、デンマーク語はさっぱりなのに涙してしまうほど良かった。話を知っているとはいえ、おもしろい芝居は言葉が分からなくてもやっぱりおもしろい。歌と踊り、笑いと“間”に国境なし。
今日もコペンハーゲンを歩きまわり、デザインセンターや王宮、王立図書館やアンデルセンの下宿先の屋根裏部屋などを見てまわりました。夜はストロイエのカフェで甘いデニッシュを片手にカフェ・ラテを飲みながらずっと道の人を眺めていました。私が知っている人は誰もいない、誰も私を知らない、そんな場所にぽつんと一人でいることが、ひどく寂しくもあり、奇妙に心地よくもあり。

B・ナッツ氏は道を歩いている時、ふいに帰ろうかな、と考えました。ともだちにとても似合いそうな緑のとんがり帽子を見つけたので、どうしてもそれをともだちにかぶせてあげたくなったのです。
「そろそろ一度家に帰ろうと思うんです。」
と、B・ナッツ氏はモコ爺に言いました。
「そうしたがええ。忘れてはいけないよ。自分が誰かなんて事は大したことじゃない。おまえさんにとって大切なものがある場所、それがおまえさんのいるべき場所なんじゃ。」
モコ爺はそう言って、髭をフワフワさせながら歩いて行きました。赤い長いとんがり帽子は赤い夕焼けに溶けて、やがて見えなくなりました。
何かを思い出すことはできなかったけれど、今回の旅にもたくさんの出会いがありました。
ともだちが緑の帽子をかぶってクルクルまわってくれる事を考えたら嬉しい気持ちになり、そうしてB・ナッツ氏はゆっくりと家に帰る方向に歩き出しました。
「アンデルセンさんは“旅こそ我が人生”って言っていたけど、きっと彼にもこうして旅から帰る場所があったんだろうな」と思いながら。

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今日はここもどうしても来たかったので、特急列車に乗って日帰りでオーデンセに来てみました。ここはあのアンデルセンが生まれて育った街。
街の名前の由来も、北欧神話でオーディンの妻フレイアが、この街の美しい光景に「見て、オーディン!(Odin,Se!)」と叫んだからだというロマンチックなものです。
ただ、さすが私というべきか、特に下調べもせずに来てしまい、来てからほぼ全ての美術館や施設は月曜休館だという事を知るのでした。ここまできてアンデルセン美術館に入れないとは、無念じゃ。

写真はアンデルセンが幼少時代を過ごした小さな家です。
ユメクイは言いました。
「ここにはすごく大きな夢がつまっていたよ。この人もたくさんのいろんな夢を食べていたんだね。」

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「こんにちは。」
「こんにちは。今日もいい天気ですね。」
「転がり日和ですか。」
「ええ、おかげさまで。」
「・・・」
「・・・」
「とんがり日和ですか。」
「ええ、おかげさまで。」
「・・・」
「・・・」

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こっちでは何をどこで食べても量がとにかく多いです。常に2~3人前はあります。適当に選んでるわりにこれまですごくおいしいものに当たってきたけど、今朝は失敗。ブランチを食べようとふらりと入ったカフェにて“チキンとトマトのクレープ”というのを見つけて、クレープなら軽くていいかな、と頼んで出てきたのがこれ。具がてんこ盛りすぎて生地が見えないのはまあおいといて、なぜクレープなのに全面的にチリソース味なのでしょうか。
私がこれに名前をつけるなら、“チキンとトマトの中華風チリソース炒め”です。おいしくなくはなかったけれど。

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スウェーデンに別れを告げ、今日はデンマークへの移動日。本当は陸路で入りたかったのですが時間短縮のため飛行機。飛行機はいくら乗っても苦手です。揺れたので全く落ち着けず。コペンハーゲンについてからも宿へのバスを乗り過ごして延々歩くはめになり、何かと疲れたので今日はもう外出しないでゆっくりしようと思います。
宿は、来てみたらこれまたかなり変わったところ。アーティストで、ゲイであるカーステンが一人でやっているのですが、とにかくすごい。建物の中なのに異様に広くて迷路みたいになってて、そこら中に壁をうめつくすくらい絵やら彫刻やらが飾られています。インコとか、生き物も陳列されてます。好き嫌いはあると思いますがなんか芸術パワーを感じます。さすが北欧デザイン。(なんか違うような気もするけど)
泊まっている部屋もこんな感じです。天窓にソファーに、冷蔵庫にミニバー。B&Bというにはあまりに豪華だ。屋上にも出られます。

おとぎの国、デンマーク。ここには何が待っているでしょう。明日はチボリ公園に行ってみようっと。

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そうしてまた朝が来ます。一日で去るのが名残惜しかったので、早起きしてまた丘の上まで上ってみました。さすがに朝日を見るとまではいかなかったけれど。
土曜の朝だけあって街はとても静かで、人もいなくて、また城壁を抜ける風の音と、鳥の声が聞こえます。

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ゴットランド島の古代の街VISBY。来てみればここは何もかもが私のツボでした。とにかく可愛い町並み、そこかしこにそびえる遺跡、咲きほこる薔薇、街をぐるりと取り囲む石の城壁。
廃墟の教会は今はオフシーズンなので閉まっていたにもかかわらず、ひょんな出会いから私は島のほとんど全部の廃墟の中を特別に案内してもらえることになり、偶然の出会いの力を感じたのでした。石の教会の中に入ったときに、ゥワーンゥワーンと鳴き声のようなものが聞こえて、どこで犬がいるのかと思ったら、それは廃墟にたくさんある小さな窓を風が吹き抜けてゆく音でした。廃墟は今は鳥の住家になっています。うーん。魔女宅というより、これはラピュタだ。
丘の上に上ってみると海が見えます。夕暮れ時に丘に座り込んで、太陽が沈むまでずっとぼんやり見ていると廃墟と家々に赤い陽がさして、ここに来た事をきっとこれから先何度も思いだすだろうと思いました。そういう風に感じる瞬間が今までにもたくさんあって、そういう一瞬の輝きを積み重ねていく事が人生なのでしょう。
と、情緒的な気分になるには十分な眺めでした。ここにはまた来たいなあ。


B・ナッツ氏が歩いていると、自分にそっくりな赤いとんがり帽をかぶっている人に出会いました。自分が誰だか思い出せないB・ナッツ氏は、もしかしたら自分について何か分かるかもしれないと思い、その人に話しかけました。
「こんにちは。すみませんがあなたは誰でしょう。」
「私はモコニール=モジャニコフ=モルモルマル=ド=スベンスカじゃ。」
「・・・モジャモジャ丸?」
「覚えてくれんで結構。皆わしの事はモコ爺と呼ぶでな。」
「モコ爺さん、僕のこと知りませんか。」
「あいにくおまえさんみたいな短い帽子のやつは知らんな。第一、自分が何者かなんて事は、自分で考えるもんじゃ。」

B・ナッツ氏はがっかりしましたが、それでもモコ爺について行けば何か見つかるかもしれないと思い、しばらくくっついて行ってみようと決めました。

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ストックホルムでの三日間はあっという間に過ぎ、今日は強行スケジュールでどうしても行きたかったストックホルム近郊の島、ゴットランド島に一泊しにいきます。ここは、あの魔女の宅急便のモデルになった島らしい。「薔薇と廃墟の街」だなんて言われて、行かないわけにはいかないのです。わくわく。

しかし早速出た、この私の苦手なミニサイズ飛行機!・・・なんかオモチャみたいなプロペラがついているんですが。たった45分間だから頑張って飛んでください。

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