Denali's Room 一語一絵

旅と猫とあんことスイカを愛する絵描き、デナリこと大野舞が日々をつづっています。

2006年10月

061029_134612.jpg今は東京、東京の部屋でこれを書いています。地球一周の後に帰ってきた私の国、日本。横浜大桟橋、神戸への出港式。いつも見送られる側だったけれど最後まで水平線に消えてゆくトパーズ号を見つめる。
三か月暮らした家と仲間との別れ。
思った以上に混乱が訪れていて どうしていいか分からず。
心の準備は十分にしたはずなのに 自分がいる場所や話している言葉にリアリティがなくて気付くと情報に埋もれて果てしなく呆然としている。
ここはどこ?私はここで何をしているんだっけ?
ああ、べッドが揺れない。
日本が、自分の部屋が、今までとどこか違って見えます。きっとまたすぐ慣れてしまうのだろうけど、今のこの「違和感」を忘れてはいけない、そんな気がします。

ただいま。

いよいよ、あと4日で横浜に到着します。

3ヶ月も一緒に過ごした1000人の人達との別れももうすぐ。
この船から降りる瞬間を目前に 船の上は帰還の興奮と、別れへの焦りと、残された時間を最大限有意義に過ごしたいという いろいろな想いが入り混じった奇妙に躁的な雰囲気に包まれています。あちらこちらでメッセージや連絡先を交換する人達が増え、飲み会が増え、デッキで過ごす時間が増え、「降りてからどうするの?」と尋ねる事が増える。
かくいう私もそんな1人で 今は心が常にざわざわしているような状態で 何を書くべきなのか あまり思いつきません。そして横浜の地を踏み、自分の家に帰った時、何を想うのかも分かりません。
人とゆっくり話しをしたり 絵をみてもらったり 
晴れた日のデッキで本を読みながらジャクジーにつかったり
甲板に寝転んで天の川を見ながら とりとめもない話をしたり
この3ヶ月間の日常が 急に切ないくらい大切な時間になる。

帰ったら何をしたいか。
まずは、このとてつもなく大きなインプットを きちんと消化して 伝えていきたい。自分なりの方法と言葉で あせらず ゆっくりと 表現してゆきたいと思う。

まだ、旅は終わっていない。
むしろ、帰った時が私の本当の旅のスタートだ。
船に乗っていれば 次々と新しい場所へたどり着いた この3ヶ月とは違って
これからは私は 自分で自分の旅を作っていかなければならない。
現在位置を知り、羅針盤と向き合い、風を読み、舵を取り、そして目的地を目指さなければならない。
大変なことは分かっているけれど
その旅の大変さを分かち合う多くの友と仲間に 私は恵まれている。

全ての出会いの奇跡に ありがとう。
この海に、この自然に、この地球に、ありがとう。

次に更新するのは 東京の1人暮らしの自分の部屋になるかな。
それこそ実感がないや。

2006年10月25日 太平洋 トパーズ号甲板にて。

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この旅最後の寄港地、ハワイ。ハワイは三回目です。何もしなくていい場所、そして何をしてもいい場所。昨日は村上春樹的にピニャコラーダを飲んだりステーキを食べたり、深夜のビーチで下着で泳ぎまわったりしていたら過ぎてゆきました。そして今日。この旅の最後を飾るにふさわしい、ものすごい体験をしてしまいました。スキューバダイビングに行くことが出来たのですが、はじめての沈没船ダイビング!水中深くに沈む遺跡のような船、そこをすみかに暮らしているたくさんのウミガメと魚たち。すぐそばを通り過ぎて行く潜水艦。言葉にならない。今でも自分の見たものが信じられないてす。
さて、三か月にわたってお送りしましたデナリの地球一周ブログもそろそろおしまいです。10日後には横浜に到着します。ここまでお付き合いくださった皆様、本当にありがとうございました。思うことはあまりにいろいろとありますが、それはまたゆっくり。

3か月間。うん。いい旅だったな。本当にいい旅だった。

そして、横浜へ。

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とうとうアメリカにやってきてしまいました!西海岸サンフランシスコへとやって来るのは、私の中学一年の初めての海外旅行以来です。本当に、旅もここまできてしまったか、といった感慨に包まれます。アジアやヨーロッパの空気は大好きだし自分に合っていると思うけれど、やっぱり住んだ事があるのはアメリカだけなのでこの感じにはしっくりする気がする。しかし大都会だなあ。。。坂道、ケーブルカー、高層ビル、そして人、人、人。南米を抜けてきた後だとなんだかぼんやりとしてしまいます。急激に現実に引き戻されたみたいだ。今からこんなんだと東京に戻った時に何を思うのだろうかな。
懐かしい再会をし、クラムチャウダーを飲み、サワーブレッドを食べ、コールドストーンのアイスを食べ、ミッション地区の壁画を見て、壁画を描くワークショップに参加し、ユニオンスクエア周辺で資本主義的に買い物し、一息。
事故のその後ですが、まだあちこち痣はありつつも、ほとんど回復しました。もちろん油断はしないつもりですが、むちうちも大丈夫です!ご心配下さった皆様、すみません。そして本当にありがとうございます。たくさんのコメントにすごく励まされました。また帰ったらちゃんとお返事したいと思います。交通事故は本当に気をつけねば。

そして太平洋横断、最後の寄港地、ハワイへと向かいます!

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グアテマラまで順調に続いていた旅ですが、さすが私。旅の終盤でとんでもない体験をしてしまいました。
つまり簡単に言うと、車に轢かれました。。。

とはいえ、ご心配なく。擦り傷と打ち身以外五体満足、全く無事です。でも、本当にびっくりしました。グアテマラで次の日ツアーバスから最初に降りた瞬間、ガツン!という衝撃。大してスピードは出してない車だったのですぐ起き上がりましたが、あれがバスやトラックだったら、と思うと鳥肌が立ちます。交通事故というのは、物理的な傷より精神的なダメージだなあ。とりあえずいろいろ考えましたが、またそれは今度。
そして今、アカプルコにいるのですが、ここでも私は通常出来ない体験をしました。首が痛むこともあり、念のため、地元の病院にいって検査してもらったのですがあまり英語が通じない。言葉の通じない異国の医者にレントゲン写真をとってもらい薬をもらう事ほど、ビビることはありません。(笑)結果的にはむちうちという診断を下され、しばらくは白い固定器具を首にまかれて、病気の猫みたいな状態です。
なので私のメキシコの思い出は病院となりました。メキシコは二度目だからまだ良かったけれど、それにしてもトホホです。生きてるって素晴らしい。

さて、とうとう次はアメリカです!

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しばらく圏外が続きご無沙汰になってしまいました。中米の旅、順調に進行中です。コロンビアではまたもやカリブ海にポッカリ浮かぶロザリオ島のビーチで存分にふやけ、パナマではパナマ運河を通過して人生観が変わり、そして今はグアテマラ、パナハッチェルという山間の小さな街にいます。ここにはアティトゥラン湖という「世界一美しい」と言われる湖があり、その湖畔には多くのマヤ民族たちの村があります。今日はそのうちソチル族とカクチカル族、ふたつの集落をボートで訪れました。マヤ文明に近付きたくてスペイン語を学んだといってもいいくらいの私なので、こういった場所に来ることが出来たのは本当に嬉しい。素朴に、真摯に古代からの生活を続けている彼らと、観光客としてほんの少しの時間、そこを見学す
るだけの私たち。いろいろと考えさせられるところもありました。
この写真はアティトゥラン湖の言葉にならない夕焼け。マヤの集落も焼けるような赤に染まり、あたりはゆっくりと闇に包まれてゆきます。

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