ポワラーヌ2

パリの有名なブランジェリー「ポワラーヌ」の
タルト・オ・ポム(りんごパン)。世界中を食べ歩いている方が
りんごパンは世界中でここが一番うまいと仰ったので、
探して食べたらさくっとふわっともちっとじゅわっと本当に美味しかった。
こういうデニッシュ的なものは
これまであまり得意ではなかったのが、簡単に覆った。
クロワッサンも好きでなかったのが今回の旅で覆った。
つまり私の好き嫌いなんてその程度のものだということだ。
デニッシュとクロワッサンに土下座したい気分だ。
何か食べ物を好きではないと思う場合、
単に「美味しいそれ」に出会っていないだけだという事が
考えられる。シャットアウトしてしまっては勿体無い。


今日は何の変哲もない日であった。
むしろ客観的に見たら駄目な日であった。

何しろ時差ぼけが未だ治らず夜は寝られず昼は12時まで寝てしまうし、
右上の歯の詰め物が取れて歯が痛いし、仕事は出来ないし、
一日中一人で、誰とも会話というものをしていないし、
メールはたまっているし、部屋は汚い。

それでもなんだか今日は理由もなく幸せで
生きているっていいなあとふつふつと思える日だった。

晴れていたし、散歩をしながらカフェで本を読んだら楽しくて没頭したし、素敵なハワイのおみやげがポストに入っていたし、お茶が美味しく入れられたからかもしれないし、フランス気分にしがみつきたくてかけているエディット・ピアフの歌声が素晴らしいからかもしれない。
なんで理由もないのに幸せなんだろうと思ったけど、
こうして思い出してみたら今日は良いことがたくさんあったのだ。
きっと幸せというのはそういうものだろう。

しかしこういうなんとなく幸せ、という日と同じようになんとなく悲しい、
という日もやってくるから気をつけなくてはいけない。
特に事件はないのにどうしようもなくふさぎこんでしまったり落ち込んでしまったりする日ももちろんやってくる。人間は全員、自分の心という思い通りにならない馬を乗りこなしている騎手みたいなものなのだと思う。

何事もうまくバランスがとれている。
すごく悲しいことがあるとすごく幸せなことがあったりするし
プチ幸せな日にはプチ悲しいことが起きたりする。

今日はちなみに黒豆ごはんを炊いて、あさりと野菜とお豆腐の蒸し物を作った。

あさりの砂だしをしている時に

「ふふ・・吐けこの貝どもめ!暗がりで全部吐いてしまえ・・・!」と

サディスティックな気分に浸ってしまうのは私だけではないと信じている。
しかし、ちゃんと砂だししたにも関わらず
私のそのいじわるな目線がいけなかったせいか、
あさりは砂を出しきらず、食べたら口の中がジャリジャリになった。
そのほかの部分が美味しく出来たのにそのジャリジャリが全てを
台無しにしていて、非常に悲しい思いをした。

最後のこのあさりの逆襲によって
今日という日はバランスがとれたと思われる。