ふろしき5

理由もなくやたらと惹かれるとか
わけもわからず涙が出るとか
小さいころから何かと縁がある動物とか
繰り返し同じ夢を見るとか
はじめて訪れる場所なのに懐かしい場所とか
数年ぶりにその人のことを考えたらたまたま電話がかかってくるとか
求めていた答えが思ってもみないところから降ってきたりとか
ありえない偶然がいきなり起きたりとか
全てがなんとなく分かるとか
前はどこにいて次はどこへゆくのかとか

そこに何かがあると思ってその糸をたぐりよせようとする人も
何ひとつ気にしないし考えない人も
多分普通に生きている分にはその暮らしぶりは変わらなくて
でも、たとえ同じ空間を共有していても、見えているものや感じているものは、多分別の星に住んでいるくらい違うものだろうと思う。

良いも悪いもなく、ただそういうものだというだけなのだけれど、目の前に座って一緒にお茶を飲んでいる人が全く自分と違う世界を生きている、というのは考えれば不思議。

世の中に存在する人間の数だけ、違う世界があると思う。無数の世界の中で、それぞれはたった一人だと考えると寂しいようにも思える。でも、だからこそ理解できなくて当たり前という前提のもと、衝突や争いも当然起こしながら、それ以上の繋がりを求めて人は自分の世界と他の世界をこすり合わせようとする。ちゃんと柔軟でありたい。いろいろな世界にもっと触れ、常にそこには自分の世界や今の自分が劇的に変わってしまうような化学反応の可能性があると思っていたい。

どんな風にも、どのようにもなりえた状態の中で、今自分がこのようにしてここにあること、その事にはやっぱり理由と意味があると信じたい。

何より意味ってないと思うよりあると思ってあれこれ考えた方が
単純にいろいろ楽しいもの。