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「おや、みなさん、どうしました。さあ、えんりょなく食べて。ボナペティ。」
三人が、ようやくスプーンを手にとると、料理番のホー君が風のようにあらわれて、もっとたくさんのお皿をテーブルの上にのせていきました。
「これは前菜。トマトのつめものに、きじ肉のパイ、ヤギのチーズに豆のサラダ。さあ、どんどん食べて。」
お客たちは、だまって料理を口に運びました。
「ザグドガ森ではふだんはどんなものをめしあがりますかな」
「山アスパラ、さるなし、きのこなんかも食べるよ」
青おばけが、チーズをほおばりながらこたえました。

(「ザグドガ森のおばけたち」本文より抜粋)
前回も書きましたが、私が挿絵を描かせて頂いた童話、「ザグドガ森のおばけたち」の私の好きな場面。芸術家の青おばけ、夢みがちな白おばけ、ちょっとクールな黒おばけ。ザグドガ森を舞台に3人のおばけたちがくりひろげる、心に岩手の冷たくて透き通った風がふ~っと通り抜けるようなお話。
作家のやえがしなおこさんの素晴らしい作品に頭が沸騰するほど絵が浮かんで浮かんで仕方なくって、依頼された以上に勝手にたくさん絵を描いてしまったのでした・・。
実際に岩手に取材にいけたことが本当に大きくて、その時に見た風景をたくさん描いています。
やえがしさんのいちファンとして、今みたいな時にこそこのお話をたくさんの人に読んで欲しいなあと思って改めてご紹介しました。

あともうひとつ、私が好きな場面。
104-105
「楽しいギターの音色が、あかるい夏の夜にひびいています。だれかが、手をならしてフラメンコをおどりだし、みんなは声をあげて、それをはやしたてました。
ぶなのこずえのちょうちんには、いつのまにか灯がともされています。夜になっても、空は沼の水のように青くすんでいるのです。」

ザグドガ森の住人たちはいまもきっと元気で
ソーセージを作ったり、赤ひげ王のお城に遊びにいったりしているはず。