目
先日「菩薩メイク」なるものが出来るというイベントに参加しました。こんなインパクトある写真を載せていいものかどうか迷ううちに2週間以上経ってしまいましたが、やっぱり面白い体験だったので紹介します。もちろん主催者の方の許可を得て。ARTS CHIYODA 3331で行われた三十三間堂プロジェクトというアートプロジェクトに参加したのでした。
私はものぐさなので、普段大して化粧はしません。一応するのですが、平均と比較したら時間もお金もかけてない方だと思います。一重だからアイメイクに力を入れると怖くなるし、チークをすると雪んこみたいになるし、リップやグロスはペタペタするので嫌いだし、それよりは寝ていたい・・・。化粧にかける平均時間は多分3~5分くらい。マスカラをしたら今日は頑張った、と思うくらい。化粧って毎日の山登りみたいに思えるのです。頑張って盛っても、その後には頑張って落とす過程が待っている。コスメはどんどん進化して、次から次へとあたらしい技術や物質が出てきて、美容雑誌とかを読もうものなら、そのめまぐるしい世界にまず圧倒され、そして自分がいかに駄目かを思い知らされる感じがして疲れてしまう。

という女子力の低い私でありましたが。ドキドキしながら参加した菩薩メイク。この日私は化粧の魔法を知ったのでありました。メイクをする前に、日本における仏像界の講義もあって勉強になった。目の前にはいろいろなチューブやパウダーやらアイシャドーやら使ったことのないジャンルのものが並んでおり、主催者の方の説明を聞きながら、自分の顔をキャンパスとしてとにかく塗りたくってゆくのです。もうこんなに厚塗りしたことない!というくらいの化粧を自分に施しました。

ファンデーションをこってり塗って、アイライナーで強烈なラインを描き、何色ものアイシャドーをグラデーションで入れて、ルースパウダーなるものをはたき、つけまつげをつけて、真っ赤な口紅を塗って、重ねて、重ねた、その先には・・。
bosatsu

誰だこれ。と自分でも突っ込みを入れてしまうほどのKOOZA的顔面が・・。白毫(びゃくごう)という額のポッチもつけて、冠もかぶりました。ここまでくると、元の顔が分からない。同じような雰囲気の菩薩が何人か集合する姿がそこにあったのでした。

でも、なんででしょう、急に楽しくなってきたのです。自分じゃないみたいな、魔法にかかったみたいな気持ちに包まれて、その場の女子たちのテンションは意味不明に急上昇しました。なので、そのまま町に繰り出しました。菩薩という神聖な姿をしているのに、居る場所は秋葉原。ここまでやったらもうギャップを楽しもうということになったので・・。
abby

アビーロード菩薩。

mac

道端でマックを買い食いする菩薩。

nehan

涅槃なう。

と、菩薩女子たちがきゃーきゃ-笑いながら、写真を撮り合うという謎な時間を過ごしました。今までにないジャンルの楽しさだった。秋葉原の人をぎょっとさせつつ。

「自分じゃないものになってる」から出来ることなんだな、これは・・・。今見るとおそろしいおそろしい。化粧を落として素顔に戻った瞬間に、みんな微妙な恥ずかしさにとらわれて、「じゃあ、また」みたいな感じでそそくさと解散したのが面白かった。魔法がとけて我に返った感じだった。

化粧の化の字は化けるという字。化ける楽しさ、自分じゃないものになれる楽しさ。ヤマンバメイクをするギャルの気持ちがちょっと分かりました。なんだろう、自分を全く別の鎧でコーティングする感じ。主催者の人が「このイベントに参加したあと、みなさんだいたい全員アイラインがそれまでより濃くなったりするんですよね」と言っていて、納得した。ちょっとした工夫で変われることって、追求のしがいがある。菩薩メイクをして町を出歩くことはもうないと思うけど、やり方は覚えたので、やってみたい人は言ってください!私ももうちょっと化粧の楽しさを追及して、女子らしく頑張ってみようと思います。

最後にプリクラ。プリクラというのはもとからかなり修正されてうつるものであるのに、さらに菩薩状態で撮っているので、完全に「嘘」の世界です。全員身元不明状態だからこそ、載せられます・・・。遊び心で父親に送ったら、「面白い写真だね。それで舞ちゃんはどこにいるの?」という真剣な質問が帰ってきました。
puri

ノリノリな菩薩女子たち。