絵

奥歯が割れた。
虫歯ではない。(虫歯は別のところにあった。関係ないが「あなたは虫歯が出来やすい体質です」と歯医者に言われることは、「人生で言われたら嫌なことベスト10」に必ずランクインすると思う)
しかも欠けた奥歯をそのまま飲んでしまった。固かった。

奥歯をかみ締めたり強い負荷がかかると、虫歯でなくても欠けたり割れたりするそうな。健康なのに磨り減らせて耐えさせた上欠けさせて、ごめん、奥歯。

私は末端に力が入りやすい性質というか、筆圧も異常な強さだし、握り締めてギリギリと書くため鉛筆はあっという間に減るし、手は真っ黒になるし、マウスも赤ちゃんがお母さんにしがみつくみたいな勢いで握りしめるしペンタブレットも磨耗がものすごく早い。更にはキーボードを叩く力も強いし、会社員時代は私がプレゼンする際、パワポのスライドを切り替えるENTERをあまりに勢いよく強く押すため、それがモノマネのネタにされたほどです・・・。うう。

もちろんそうしたくてしているわけではないのですが、もうそういう体になってしまっていて、いつも体のどこかが固くなってピンと張ったような緊張状態にある感じがある。力が入っていると、手紙ひとつ書いても不必要に肩は凝るし、寝ても疲れが取れないし、何もいいことがないんだけれど。

いつだって、体の固さは心の固さに繋がる。やわらかい状態であればくにゃっと受け流せる流れが、固くなってるとぶつかりあって砕けて、これまたいいことなし。人から「考えすぎ」とか「肩の力をぬけ」とか「沸点が低い」とかいわれて、はじめて自分がものすごく力んでいたことに気づいたりする。余裕がなくなってくるとますます凝り固まりんぐ、その上無自覚。最近は特に落ち込むことばかり。

もちろんゆるゆるで柔らかいだけでも駄目だけれど。緩急、メリハリ、出力調整。どんなものでも「偏り」はバランスを崩すには違いないから。もっと柔らかく、ほどけて。「仏」いう言葉も「ほどける」からきているらしい。こりかたまっているままだと、世界に優しい存在にはなれないに違いない。

だいたい大半のことは思い込み。そういうものだから、とか、クセだから、とか全部思い込み。パターンにはめ込んで自分を楽にしているだけなのです。だから、きっと手放せるはず。気づけば、変われるはず。目に映る全てのものはメッセージ、とユーミンも歌っているように、欠けた奥歯が最近の私へのダイレクトメールだと思った。
世界はなんてたくさんのメッセージであふれているんだろうなあ。

飲み込んだ奥歯は消化されないで出てくるのかな。
それともカルシウムだからまた自分の一部になるのかな。
わからん。
出てくるのなら、未練なく流すよ、その固さを。
また私になるのなら、もちろん受け入れるよ、今度は奥歯よりも負荷がかからない部署に配属するよ。

力をぬいて、大きくひとつ深呼吸、そしてにっこり笑ってみる。
欠けた自分の一部分の、旅の無事を祈る。