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下北沢の駅が、3月の終わりにだいぶ変わってしまった。小田急線が全部地下に潜った。迷路のようにややこしかった駅はスッキリ綺麗になって、行ってみたら小田急線があまりに深いところまでもぐっていてびっくり。長いエスカレーターで下っていく間、ここが昨日まで自分が使ってきた駅と同じだなんて、信じられない気持ち。井の頭線は変わらない今までの姿のまま、ホームから降りる階段でピカピカの新しい部分につながって、なんだかまだちぐはぐな感じ。

一時間の間40分は閉まっていたという「開かずの踏み切り」もなくなった。あの踏み切りはとにかく不便で、本当に不便で、それでもなんとなく、あの踏み切りでみんなが溜まっている図というのはとても下北沢らしい絵だったように思う。
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新しい駅に切り替わる最終日は、写真を撮る人やなんとなく見に来る人で駅前はごったがえしていた。私も古い駅舎にありがとうを言いたかったので、なんとなく見に行った。毎日使ってきたのに、今日で最後だなんて!と思うと急に寂しくなってきて、多分みんなそういう風に思うのか、なんとなくじーっと駅を見ている人も多かった。

私はまだここに住んで数年しか経ってないし、生まれ育った人にくらべたら本当に最近のこの街しか知らない新参モノだけれど、それでもこの街の店の入れ替わりの激しさや、回転のめまぐるしさはたくさん味わった。町の顔だと思っていた店が、あっさりなくなってしまったりして何度もびっくりした。そんな周りが変わっていく中でも、変わらないものとしてその中心にあったものがあの駅だったように思うのに、そこもついに、と思ったら街のコアがなくなったような心細い気持ち。

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ドラえもんの声優さんが大山のぶよさんじゃなくなったとき、こんなのドラえもんじゃない!って思ったし今も思っているけれど、今のこどもたちではじめてドラえもんに触れる人はそれが最初からドラえもんの声で、それを当たり前として愛していくんだろうと思う。街も変わる、来る人も変わる。いつでもあるのは「いまの姿」だけ。

えらそうに聞こえるしそんな身分じゃないんだけれど、駅が変わって下北沢のひとつの時代が完全に終わったんだな~と思う。きっとこれから駅はもっと変化して、もっと便利になって使いやすくなって、スーパーやおしゃれなお店も入って、住んでいる人も昔からそうだったみたいにその便利さを享受するようになっていくんだと思う。でも、あの古い駅の落書きだらけだった壁とか、まったく効率的でない段差とか、意味不明な動線とか、イライラしながらず~っと踏切が開くのを待っていた時間のこと、せっかくそのシフトの時にこの街にいたんだから、しっかりと心に刻んでおこうと思います。

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開かずの踏切の最後の夜は、大賑わいでした。このときだけはいくら待たされても誰も文句言わない。笑

ありがとう、今までの駅!そしてこれからよろしく、新しい駅!
しかし地下深いのは苦手なんだよ~(>-<)