florence

現代における仕事と育児の両立の問題というのはいろいろありますが、今回は私が「男性の育休取得」について思ったこと。専門家じゃないからデータとか細かいことわからないのですが、私自身これまでは知識としてしか理解していなかったことを体験した、という話。
出産に立ち会ったのち、夫のうしくんは、1ヶ月育休を取得してみっちり家にいてくれました。彼はフリーランスでも自営業でもなく会社員です。

そう聞いて驚く人の方がやっぱり多いのだと思います。

出産後病院で入院していた1週間も一緒に病室に泊まっていたんですが、病室にくるいろんな助産師さんに毎回毎回「だんなさん、今日はお休みなんですか?」と聞かれ「いえ、育休中なんです」と答えるたび、「ええ~~~~っ!すごい!」と驚かれました。そう答えるまでは「だんなさんなんかずっと一緒にいるけど何やってる人なのかしら?もしかして働いてないのかしら?」的な感じでありました。笑

もちろん男性の育休取得がまだまだ一般的でないことくらいわかっていたけれど、私が産んだのは東京の特に産科で有名な総合病院だし、働くお母さんがたくさんかかっていて、毎晩20人くらい赤ちゃんが生まれるような大きな病院なのに、助産師さんと話しているとだんなさんが1ヶ月も育休取れてる人なんかはじめてです!みたいに毎回あまりに仰天されることにこっちが仰天。

そこまで珍しいのね、と。
イクメンブームとかなんとか言われててもまだまだこういう感じなのか、と。

「制度としては男性も育休が取れる、でも実際は取る人がいない」の理由はいろいろ。職種的に無理、経済的に無理、心理的に無理。当の男性がそもそもハナから無理と思っている場合が多いから「取れるものなら取りたいけど、いろいろ難しいムニャムニャ」が当たり前。「無理」の大きな理由は「職場の空気」と「関わる人の意識」以外にはないと思われる。育休取得しようとする男性がいちいち驚かれたり褒められたり詮索されたりするのはそれが特殊なことだから。取れるけど取らないのが当然、という雰囲気の中では1ヶ月はおろか1週間だって休むのは勇気がいる。

私が前に居た会社も女性が働きやすいオープンでリベラルな雰囲気の外資だったけど、やっぱり男性社員が育休で1ヶ月居なかったことはなかった。子どもがいる友達や同年代の人の中でも私が知る限り1人だけだ。

このブログでも何回か紹介しているけれど大学時代からのサークルの友達のNPO法人フローレンスの駒崎弘樹くんは、大きな組織の代表で、今や2児の父だけど、一人目のときも、二人目のときも、それぞれ2ヶ月きっちり育休を取得していた。社長がそんなに居なくて組織がまわるわけない!と思うのは先入観。今の時代メールもスカイプもあるし、0か100かじゃない関わり方だってできる。本人も「自分が運営している組織であるし、最初は自分がいないと会社はダメだと思い込んでいた、でも実際は2ヶ月いなくてもスムーズに運営されていた、寂しいほどだった。」と言っていた。(笑)

実際には、その個人がいないと絶対にまわらない、という仕事はないのだと思う。 会社とはそのようなものではないしもしそうなら組織として脆弱ということなってしまう。理解とサポートがあれば、1人の人間が2ヶ月いないことくらいカバーできるし、2ヶ月後に「おかえりなさい!」と同じ椅子にその人を迎え入れられる。

たまたま夫が育休取得したいという気持ちでいてくれたからだとか、家からでも関われる職種だったからだとか、認められる会社にいて幸運だったからだとか、1ヶ月は収入なくたって暮らせるとか、「それができるなんて羨ましい、恵まれているからできたことだ」と言われる立場に私たちがいた、そうなのかもしれない。でもそういう捉え方ではこれからも何も変わらない。

女性が、男性が、両親が、上司が、部下が、同僚が、意識を変えて意図すればいくらだって可能になることがあると思うのに。

制度としてそれが存在してないなら、さすがに退職するわけにはいかない。自営業や仕事の状態や何らかの理由で物理的に無理な場合ももちろんある。でも法律で認められた制度があるのに、その権利を主張して後ろ暗い思いをすることはない。残された人は大変になる。でももし、もしそこをもしカバーしてもらえたら、カバーされた人は今度他の誰かが休みをとったときに、感謝の気持ちを持って全力でその人をカバーできると思う。そうして広まっていくものがきっとある。

うしくんの会社が男性の育休取得を推奨してたのかというと全くそんなことはなく、むしろ過去において先例はひとつもなく、彼が最初の一人。駒崎くんと違って、決定権と発言力がある組織のトップではなくて一社員だし、その方が大変だと思う。人事の人もはじめてのことでどうしたらいいかわからない、そんなところで開拓者になった。理解し助けてくれた会社や周りの人にも感謝だし、周囲の目も不安もあっただろうし勇気が要った中でそれをしてくれたうしくんに産後感謝しなかった日はない。

何回も書いているけれど、出産直後の女性の体は本当に大ダメージ、ドラクエでいったらHPが赤い字になってる状態です。単に私が難産だったからで普通はそんなことないのかもしれないけど、全身痛くて床にあるものさえ拾えませんでした。中腰になってオムツを変えるのだって一苦労、そのくせ育児はノンストップの不眠不休、ホルモンバランスが一気に変わって鬱っぽくもなる。その一番キツイ時傍らに誰か居てくれるだけでどれだけ助けになるかわからないし、実家のお母さんでももちろんいいんだけれど、やっぱり目の前にいる子どもの半分を構成している父親がいてくれるというのは何かをしてもらうにしても気の使い方が両親とは違う。うしくんがもし育休を取らなかったら私は産後1ヶ月を乗り切れなかったと思う。

昔はもっと何世代もが一緒に暮らして家の中にたくさん人がいるのが当たり前で、村単位、コミュニティ単位で子どもを育てていたみたいなところがあったから自然と助けの手があったのだろうけれど、核家族が普通になって、今は家の中にぽつんと母と子がいる状態が普通になっている。一人でいろいろなはじめてにてんやわんやで頑張らなきゃいけない母の横に父がいる風景がなんでそんなに珍しいものでなきゃいけないんだろうか。

新生児期間はびっくりするほど短くて、生まれてすぐの宇宙人→人間に劇的に変化していく子を見られることの歓びは母親も父親も関係なく同じ。人生にそう何度もあるものではない自分の子どもの誕生、という大きな出来事に際して父親である男性が何十年かの社会人生活の中で1~2ヶ月後休むことがなんでできないんだろう、と無知だし単純な私は思ってしまうのです!

そんなことはわかってる、その上でみんな取りたくてもとれないんだよ、とか女の意見だとか甘いとか浅いとか言われちゃうのかもしれませんが。いろいろな状況、いろいろなご意見があるのは承知ですがこれはただの主婦の日記なので個人的な意見を書いてしまいました。

本人に取得したい気持ちがなかったら何にもはじまりませんが、もしも「取得したくて」「それを可能にする制度があって」でも「雰囲気的に」取れない、というのはやっぱりなんだかおかしいと思うし、自分が身を持って実感しただけに、もっと取りたい人がみんな取れるようになればいいのに〜雰囲気の問題なら何とかしようよ〜と思わずにはいられないのです。

男性が育休とるのが当たり前になって、1ヶ月取得したって言っても仰天されなくなって、働く女の人が希望の保育園や幼稚園に、目の色変えなくてもちゃんと子どもを預けられるようになって、みんなで助け合って、父も母も堂々と休んで堂々と復帰できる、日本の会社が全部そういう風になればいいのに!母親は育児しててもイクメンなんていう呼び名はつかない。それが当たり前だから。イクメンという言葉がなくなるくらい、男性が育児に関われることが普通になればいいのに。

以上、最初は真面目に珍しく社会的メッセージ?!を書こうと思ったんですが、慣れてないことをしているので後半にむけてどんどん稚拙になっていく(笑)心の訴えでした。

話はズレますが私がフリーランスで自宅勤務だというと、「赤ちゃんいても家で仕事できていいわね」と言われるけれど、実際まとまった集中力時間は皆無だし、そんなことはない気がしている・・・。まだ本格的に仕事を再開できてないけれど、むしろ仕事場と育児の場が同じ分、難しいのではないかと思う。それでも先日家にきた赤ちゃん訪問の保健師さんには、「自宅勤務なのね~それだとポイントが低いからこの区で保育園は難しいわね」と言われてしまいました。いつ預けるとか全然決めてないけど「家で働けるなら恵まれている、保育園は必要ない」という前提の制度があることにも憤りを感じました。

話違うついでにもう一つ。出産には国から42万円補助が出るけど、結局それじゃ足りないし、検診とか検査とか入院とか入れると十万単位で自己負担になるし、子ども生むくらいタダにしてから、 少子化を問題にしてくれ!ムキー!(ますます稚拙)

子育てしにくい国だと知識では知っていたけれど、これからもまだまだそういう日本の側面を自分が身を持って体験していくんだろうな、と思うと身がひきしまるし、戦えるところはちゃんと戦いたいなと決心。いつか自分の子どもが子育てをするような未来に、男女関係なく育児にいいバランスで参加できるような世界をめざして。
私もちっぽけな力ですが少しでも日本の子育てに関する課題に関われたらいいなと思うし、これまでもずっとロゴやデザイン面でフローレンスのお手伝いなどさせてもらってきたけど、これからはもっと病児保育の重要性など、自分ごととして考えられるようになりそうです。大それたこと言ってるかもしれませんが、思ってないことは実現できないから。

画像は最近描かせてもらった、フローレンスのサポート隊員(ひとり親寄付会員)入隊感謝キットに使われた新しいポストカードたちです^^)寄付を通じてひとり親家庭の育児を支えるサポート隊員さんたち。2008年7月からスタートして、5年でサポート隊員の総数が500名を突破したそうです、めでたい。