しもきた
先日、といってもちょっと前のことになってしまいましたが、一泊で、下北沢への弾丸ツアーを決行してきました。目的は本屋さんb&bで開催された、吉本ばななさんと、サボテン高水春菜ちゃんのトークイベント「下北沢のいいところ」を見にいくため。表紙を描かせていた頂いた、ばななさんの新刊「下北沢について」の発売記念のイベントでもありました。

家族全員で行くような時間の余裕がなかったので、今回はピノはパパとお留守番、私がネムだけを連れて一泊で下北にいくというこれまた初の試み。かなりの強行スケジュールではありましたが、長年関わらせてもらった「下北沢について」のイベント、どうしてもいきたかったのです。

1

いきなり飛行機に乗り遅れるというトラブルに見舞われつつ(完全なる自分の勘違いで!)たどり着いた下北沢、南口商店街のゲートの前に立つと、泣きそうな気持ちになりました。「おかえり」と言ってくれているようで。そして、離れてもうずいぶん経つはずなのに、一瞬であの空気の中に身体がなじむ。

懐かしい友達に再会し、ティッチャイでみゆきさんとおしゃべりして、夜のイベントに参加。ばななさんと春菜ちゃんが語る言葉たち、街について、暮らすことについて、縁について。下北沢のことも、それ以外のすべての街のことも、共感するあまり、2時間ずっと、かくかく頷いている怪しい参加者だったと思います。お恥ずかしながら、私もチーム下北沢のメンバーとして、紹介していただいたり。ネムも私の緊張を感じてか、空気を読み取ってか、ずっと静かにしていてくれました。最後に春菜ちゃんの生の歌声も聴くことができ、また会場全員で歌うこともでき、ひとつになった空間を感じました。タイムスリップしたような、とろりと濃く幸せな夜でした。

(トークショーの内容は、こちらで読むことができます!
それから私のコメントもご紹介頂いた「小説幻冬」の記事が、こちらにアップされてます。
是非、ご覧下さい!!)

2

ティッチャイで打ち上げをして、みゆきさんのタイ料理を心ゆくまで食べて、ディージャンに泊めてもらって、みゆきさんと夜中に語って空に竜も発見し、朝ご飯はもちろん、トロワシャンブルのシナモントースト。あの香りと、カリカリしたあまいお砂糖を味わった瞬間、ピノがまだ小さくて下北沢に住んでいた頃、寝かしつけをしてから本を1冊もってここにきて、コーヒーを飲むことが至上の癒しだったことを思い出した。

「ニレブレンド」のカップをおいたら、あっという間に神戸に帰る時間!

何もかもがなつかしく、引っ越した方が嘘だったんじゃないかと思えるほど、当たり前のようにそこを歩いている自分がいて、でも今回、だっこ紐の中に入っていたのは、下北沢を全く知らない、きょろきょろまわりを見渡しているばかりだったネム。
なんだろう、とても不思議な時間だったな。
時間が経ったような経っていないような。
この街はやっぱり、自分にとって本当に特別な場所なんだなあとしみじみ思いました。

心配したけれど、ピノもお留守番できていて、その成長にも感動しました。(次の日から熱だしたけど...)

ばななさんのお話の中に、街に住むことは「恋愛に似ている」というお話があって、その通りだと思った。単に自分が住んでいる場所、というだけではない。
そこにはもっと有機的で相互的な何かがある。

神戸に引っ越すことになった時、下北沢を離れることが、悲しかった。こんな関係は、下北沢のような「特別な街」とじゃないと築けないと思っていたし、まさに失恋した気分だった。自分の「真ん中」は下北沢しかないんだと思い込んでいたから、体だけが急に引っ越すことになって、
軸がずれちゃった気持ちだった。

でも、そうじゃなかった。下北沢だけが特別なんじゃない。
全ての街が特別。
だって、そこに住んでいる人たちがみんな、特別だから。
道があって、お店があって、人がいる。
どんな街とだって、特別な関係を築くことができる。
全ては「街とどう関わるか」という自分の心次第なんだということが、今は分かる。

そして今私は神戸という街もとても好きだ。心穏やかな気持ちで、日々、たくさんの好きなところを発見している。きっと、もっと好きになれると思う。「軸」が真ん中に、戻ってきている。
朝起きて、今日はどこにいこうかな、あのあたりを散歩しようかな、
あのお花屋さんのおねえさんとちょっと話して、今日食卓に飾る花を選んでもらおう。
ついでにおいしいミックスジュースも飲ませてもらおう。
いつの間にか、下北沢を見つめていたような目で、今暮らしている街を見ている。

引っ越しをするということは、「大事な場所」が増えていくということ。
1点から動かなければ、どれだけその場所が特別であっても、そのことに気づけないかもしれない。
外に出てみて、はじめてわかることも、あるかもしれない。

時間は、動いていく。
人も、動いていく。
だから、あらゆる一瞬が、特別。

だから「自分はここ」ということを、決めない方がいいと思う。

どんなことだって起こりえるし、どんな場所にだって、暮らせる。
どこにだって、今すぐ、引っ越せる。動き出せる。

ただ自分が心から、そうしよう、と思いさえすれば。

恋愛の仕方(?)を教えてくれた、下北沢君(!?)には感謝することばかり。そして、訪れれば「おかえり」と言ってくれる、大好きで、大切な人たち。

下北沢が大好きだ!
出合えたことに、感謝だ!!

「下北沢について」の表紙は、心臓のイメージ。カバーを取ったところの絵は、肺をイメージしています。細胞が入れ替わり、血液が循環し、呼吸し、生きて日々成長していく、街と、人の世界。

3

ディージャンの広い床で、くつろぐネム。