sukima.jpg「スキマ」が怖いです。

私たちの周りには気づかないようで本当にたくさんの「スキマ」があります。

ちょっとだけ空いたドア、ビルとビルの間の細い路地。
意識しないうちはいいのです。
いったん意識するととたんに怖くなって、
なぜならちょっとだけ空いたドアは全開のドアと全く別物で、異次元につながっているというか、そこから何かがこっちを覗いている気がするからなのです。
昨日は朝は雨が降っていたので、私は細い傘を持っていました。
昨日、帰り際に23階のエレベーターに乗ろうとしました。
その瞬間、エレベーターの箱と、それから23階のフロアの床、
そのほんのちょっとしたスキマに、私の細い傘が
一瞬にして「ひゅっ」と吸い込まれていったのです。ひゅっ。
普通の傘だったら絶対に落ちない幅。
落ちた、というよりは明らかにスキマに吸い込まれた、という感じでした。
そのあとは、静寂。下の階まで落ちていったのなら、どこかにぶつかる音が
してもいいはずなのに、完全な無音。
存在していた証拠すらなく傘は私の手から「消失」しました。

あっちの世界とこっちの世界の境目は思ったより曖昧。
たとえば私がある雨の日に友達の後ろを歩いていたら
みずたまりにふみこんだ瞬間に「ひゅっ」とみずたまりに
吸い込まれて、その友達が振り返った時には誰もいない、なんていう
状況があるとしたら、私が吸い込まれる様子ははきっと傘が
スキマに吸い込まれていくのと同じように一瞬で、友達は同じように慌てるより
首をかしげてしまうんだろうな、というややこしい考えにとらわれた。

ちなみに、事故になるとまずいと思って
ビルの警備室にその失態を告白しにいったら
「あーそうなのー、じゃあ遺失物届け書いて」
といともあっさり単なる落し物扱いされました。
異次元に迷い込んだ傘は意外に早く
私の手元に戻ってきそうです。