img20050628.jpg高校生の時に読んだ忘れられない本です。難病で全身麻痺になった元雑誌「ELLE」の編集長によって書かれています。何一つ動かせない身体なのに、思考はクリアであるという悲劇。彼はそんな自分の身体のことを「重たい潜水服」のようであると書いています。愛する家族が目の前にいても、何も語りかけられない苦しみ。幼い娘に微笑みかけることすら出来ないもどかしさ。

それでも彼は、物語を綴りました。唯一出来るまばたきを20万回以上繰り返して、気の遠くなるような長い時間をかけて。冷たい身体に閉じ込められた意識が、季節を感じ、支えてくれる人を思い、その入れ物を去る直前まで綴った暖かい言葉たちは、その悲しい物語をむしろ幸福な物語に見せています。

「自分には何が出来ないか」ではなくて「自分に出来ることは何か」を考えたい。
どんな時でも前向きに。

なんで10年近く前に読んだ本について 今書こうと急に思ったのか分からないけれど、きっと今日の私は潜水服ではないですが、鉛の洋服を着ているようで 起き上がれなかったからだと思います。