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ゴットランド島の古代の街VISBY。来てみればここは何もかもが私のツボでした。とにかく可愛い町並み、そこかしこにそびえる遺跡、咲きほこる薔薇、街をぐるりと取り囲む石の城壁。
廃墟の教会は今はオフシーズンなので閉まっていたにもかかわらず、ひょんな出会いから私は島のほとんど全部の廃墟の中を特別に案内してもらえることになり、偶然の出会いの力を感じたのでした。石の教会の中に入ったときに、ゥワーンゥワーンと鳴き声のようなものが聞こえて、どこで犬がいるのかと思ったら、それは廃墟にたくさんある小さな窓を風が吹き抜けてゆく音でした。廃墟は今は鳥の住家になっています。うーん。魔女宅というより、これはラピュタだ。
丘の上に上ってみると海が見えます。夕暮れ時に丘に座り込んで、太陽が沈むまでずっとぼんやり見ていると廃墟と家々に赤い陽がさして、ここに来た事をきっとこれから先何度も思いだすだろうと思いました。そういう風に感じる瞬間が今までにもたくさんあって、そういう一瞬の輝きを積み重ねていく事が人生なのでしょう。
と、情緒的な気分になるには十分な眺めでした。ここにはまた来たいなあ。


B・ナッツ氏が歩いていると、自分にそっくりな赤いとんがり帽をかぶっている人に出会いました。自分が誰だか思い出せないB・ナッツ氏は、もしかしたら自分について何か分かるかもしれないと思い、その人に話しかけました。
「こんにちは。すみませんがあなたは誰でしょう。」
「私はモコニール=モジャニコフ=モルモルマル=ド=スベンスカじゃ。」
「・・・モジャモジャ丸?」
「覚えてくれんで結構。皆わしの事はモコ爺と呼ぶでな。」
「モコ爺さん、僕のこと知りませんか。」
「あいにくおまえさんみたいな短い帽子のやつは知らんな。第一、自分が何者かなんて事は、自分で考えるもんじゃ。」

B・ナッツ氏はがっかりしましたが、それでもモコ爺について行けば何か見つかるかもしれないと思い、しばらくくっついて行ってみようと決めました。