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国立新劇場へ行ってみたらミュージカル「美女と野獣」をやっていたので、つい見てしまいました。どこに行っても舞台に惹かれてしまうのです。これがまた素晴らしく、デンマーク語はさっぱりなのに涙してしまうほど良かった。話を知っているとはいえ、おもしろい芝居は言葉が分からなくてもやっぱりおもしろい。歌と踊り、笑いと“間”に国境なし。
今日もコペンハーゲンを歩きまわり、デザインセンターや王宮、王立図書館やアンデルセンの下宿先の屋根裏部屋などを見てまわりました。夜はストロイエのカフェで甘いデニッシュを片手にカフェ・ラテを飲みながらずっと道の人を眺めていました。私が知っている人は誰もいない、誰も私を知らない、そんな場所にぽつんと一人でいることが、ひどく寂しくもあり、奇妙に心地よくもあり。

B・ナッツ氏は道を歩いている時、ふいに帰ろうかな、と考えました。ともだちにとても似合いそうな緑のとんがり帽子を見つけたので、どうしてもそれをともだちにかぶせてあげたくなったのです。
「そろそろ一度家に帰ろうと思うんです。」
と、B・ナッツ氏はモコ爺に言いました。
「そうしたがええ。忘れてはいけないよ。自分が誰かなんて事は大したことじゃない。おまえさんにとって大切なものがある場所、それがおまえさんのいるべき場所なんじゃ。」
モコ爺はそう言って、髭をフワフワさせながら歩いて行きました。赤い長いとんがり帽子は赤い夕焼けに溶けて、やがて見えなくなりました。
何かを思い出すことはできなかったけれど、今回の旅にもたくさんの出会いがありました。
ともだちが緑の帽子をかぶってクルクルまわってくれる事を考えたら嬉しい気持ちになり、そうしてB・ナッツ氏はゆっくりと家に帰る方向に歩き出しました。
「アンデルセンさんは“旅こそ我が人生”って言っていたけど、きっと彼にもこうして旅から帰る場所があったんだろうな」と思いながら。