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デナリに出会ったのは、私が17歳のときでした。
アラスカに留学していた私は最初の3ヶ月くらいひどいホームシックにかかって
しまって、気分の沈んだ日々を過ごしていました。
私のステイしていた家はホストマザーが離婚していて、私よりひとつ年下のアリシアと、同居人である30代半ばのリーという女性、女ばかりの4人で暮らしているというちょっと不思議な家でした。みんなそれぞれ忙しく、学校が終わって帰ってきてから夜までは家に私ひとり、という状況が多かったため、まだ英語もそんなに出来なくて学校で友達を作れていなかった私は余計に寂しさが募って、「猫を飼いたい」とお母さんに相談してみたのです。

 今考えたら留学生がステイ先の家でペットを飼うだなんてありえないと思うし、よくも自分はそんなこと図々しい事を言ってしまったなあ、とも思うのですが、それでも家に一人ぼっちで寂しかった私は、「自分と一緒に過ごしてくれる存在」が欲しかったんだと思います。わがままな話です。最初は反対していたホストマザーも(当たり前だ)私が説得すると、OKしてくれました。その時の条件は3つ、「子猫であること」「ちゃんとしつけをすること」「一緒に日本につれて帰ること」。子猫じゃなきゃ駄目だった理由は、多分そのほうがちゃんとしつけやすいから、ということだったと思います。
最初はアラスカの「里親センター」を見てまわったりしたのですが、なかなか子猫がいなくって、お母さんの了解が得られない状態でした。そんな時アリシアが「友達の家の猫がいっぱい子猫を生んだ」というニュースを持って帰ってきて、早速私は嬉々としてその友達の家に出かけていきました。
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お父さんは黒いしま猫の短毛。おかあさんは茶色のトラ猫の長毛。(ちなみにアラスカは寒いので、雑種でも毛が長いのが多いです。)生まれたばかりのモジャモジャした子猫たちを目の前にして、私は興奮しながら1匹ずつと対話してみました。子猫はどの子もとても元気で、にゃあにゃあと自己主張していました。
 その時、わりと体の大きな兄弟達のおなかの下に、1匹ちっこい真っ白な子猫がいるのに気がつきました。他の子たちはみんな茶色か黒なのに、その子だけが真っ白で、そしてとても弱弱しく、泣き声も小さいのです。そうしてその子が、だるそうに一瞬、私の顔を見あげました。その瞬間、私の心は決まっていました。「この子にする」とその友達に伝えると、彼女は「その子は兄弟の中でも一番からだが小さくて弱いし、他の子の方がいいんじゃない?」と何度も言いました。それでも私は、「この子しかいない」と彼女に言いました。もしかしたら、一人で生きようと頑張っているその小さな子猫と、寂しくてつらかった、その時の自分を重ねてたのかもしれません。
 
そうして、デナリはうちにやってくることになりました。

その日の日記を今読み返してみると、こう書いてあります。
「なんと!今日はいよいよ、うちに念願の!!子猫ちゃんがやってきました!!
 うちに来てくれて、ありがとう。共に生きていこうね。」
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我が家にやってきた日のデナ。