img20070215.jpgナスカの地上絵。
様々な説はあるけれど 誰が、何のために作ったのか、
結局は謎だらけの場所。
マチュピチュにならび、ペルーに行ったら絶対に訪れようと思っていた場所です。ナスカにいったのは旅の最後で、友たちは皆帰国してしまっていたので一人旅で行きました。最初から一人旅だとどうってことないのに、旅の途中で一人になると急にドキドキするのは何故だろう。やっぱり、知らないうちに大勢でいることの安心感にひたってしまうからでしょう。
その分、一人になった瞬間にスーーッと研ぎ澄まされてゆく自分の意識、急にとがってゆく感覚、高まってゆく緊張感が楽しかったりもします。
リマからバスで7時間行ったところに、ナスカの街はあります。
リマを出たときは湿気がたっぷりある空気だったのに、バスの中で一眠りして目をさまし、窓の外を見たらいきなり思いっきり砂漠!だったのでびっくりしました。乾いた空気と風。オフシーズンのナスカはぶっちゃけ相当さびれた街で、やる気のない雰囲気が町全体に漂っていました。

ホテルに荷物を置き、ホテルの横のレストランでまたセビッチェを食べて(やっぱりリマの方がおいしかった)早速地上絵フライトへ出かける。そう、小さなセスナでのフライト!飛行機恐怖症の私はただでさえ飛行機にはなるべくのりたくないのに、アラスカで氷河フライトをやった時に大揺れのセスナにすっかり酔ってしまい、景色どころではなかったというトラウマがあります。
けれど、相手は地上絵だ。
高いところからしか見えないのだから、仕方ない。
とりあえず、酔い止めを多めに飲んで対策をする。

ナスカから地上絵がある場所まで車で15分。
飛行場に着くと、パイロットの人が出てきてあれよあれよという間に空の上。

やっぱりゆれるー!!おおゆれ!

フライト時間は30分で、地上100Mくらいのところを飛びながら、いろいろな角度から見られるようにパイロットがアクロバット飛行してくれます。その際に「あれはクジラだ」とか「あれはコンドルだ」とか、説明もしてくれます。
けれど、全く持って落ち着いて鑑賞できるような状態ではないのです!
パイロットの言葉にガクガクとうなずくのみ。写真もあまり撮れませんでした。というより30分しかないのに、そしてやっと自分の目で地上絵が見られるというのに、ファインダーのぞいてばっかりなのは勿体無いと思いました。

あっという間にフライト自体は終わって、半ば茫然自失状態。酔いはしなかったのだけど(美しくない話で恐縮ですが後ろの席に座っていた人たちはもどしてました・・それだけの揺れだったのです)

感動は、むしろあとからやってきた。
地上絵の壮大さ、見ることが出来たという事実はもちろん、私は地上絵の中の「宇宙飛行士(Astronaut)」がとても気にいってしまったのです。
これ

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他の地上絵は地面に作られているのに、これだけ山の斜面に描かれていて、片手をあげたその姿はまるで宇宙に手を振っているよう。発見された当初は、目が丸いので「フクロウ男(Owl Man)」と呼ばれていたらしいのですが、アメリカが勝手に宇宙飛行士にしたのだとか。
かわいい・・・「もののけ姫」のこだまみたいです。
それが、何百メートルとかの大きさで作られているのです。

更にすごいのは、地上100Mからのフライトで見える地上絵はこれでも一部だということ。地面には無数の線が走っていて、もっと高くからではないと見えないものもたくさんある。

すごい、すごい。ワクワクがとまらなかった。

私は、この宇宙人は、「いってらっしゃーい」だか「おかえりなさーい」だか知らないけど、空からやってくる人たちにメッセージを送っているのではないかと思います。もしくは、空からやってきてこの地球上に残された人が作った「SOS」サインかも??

考えているだけで楽しい。
けれど謎であり、真実を知るすべがないということはいくらでも想像の翼を広げられるということで、それは幸福なことだ。

謎は、謎のままでいい。
永遠に解き明かされなくてもいい。
でも、たまにその真実の表面をかすめるような 
ヒントを出してくれたら楽しいけれど。

その他、私がなんとかセスナの中からとった写真たち。

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セスナの中ではパイロットの横、助手席に座っていました。


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クジラ。目がうずまきでかわいい。


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ハチドリ。有名なやつです。これはとてもキレイにのこっている。


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これは、次の日に行った「ミラドール」(マリア・ライヒという研究者が地上からも地上絵を観測できるように建てたやぐら)の横を走っているパン・アメリカンハイウェイの真ん中で撮った写真。なぜか、タクシー運転手が「やれ!やれ!」っていうのでやりました。(ここを訪れる日本人が必ずやりたがるらしい・・・ちょっと恥ずかしかった)地上絵は、ミラドールから見ると本当にごつごつした黒い岩肌がそこだけキレイに白くなっている。

石をどけてあるだけの地上絵は、やっぱり時間が経つとどんどん風化してゆく。10年前の写真と今の写真を比べると、その差が歴然らしい。もちろんあらゆる手を尽くして保存するんだろうけど、いつかはこのまま、風化して消えていってしまう事と思うと 見れて良かったなあと思う。
次の日にはまた7時間かけて、バスでリマへ戻った。
たった30分のフライトだけれど、そのためだけに7時間、往復14時間かける価値はやっぱりあった。

ひとつだけ悲しくなったのは、ナスカへ向かう道、たちの悪い観光客がおそらく記念に作ったニセの地上絵がたくさんあったこと。トイレの落書きみたいな頭の悪い感じの言葉が巨大に山肌に作られていたりする。悲しいなあ。そんな暇と労力があるなら、もっと別のことに使えばいいのに。