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「しるべふくろう、インカのふくろうに出会う。」

ペルーへの旅から帰ってきてからそろそろ2週間くらいになります。
マチュピチュの話を書こう描こうとずっと思っていたのに、帰ってきたとたんの忙しさにうずもれて、先延ばしにしてしまっていました。というより、あまりにいろいろ感じた場所だったから、時間がないときに急いで書きたくなかったのです。

私の、憧れのマチュピチュへの旅。帰ってきてから時間が経ってみるとあまりに夢のような出来事で、うまくリアリティを伴った言葉が出てこない。だから、私が現地で書いていた日記をそのまま引用して載せます。実際に、マチュピチュのふもとで書いた日記。興奮によりマチュピチュ紀行の日記は延々と10ページくらいに渡って書かれているので、2日に分けたいと思います。

異様に長いのと、妙なテンションになっているこの日記、読み直して見ると自分でもちょっと恥ずかしいですが、逆にその時、その場所にいた私の興奮っぷりが伝わるものになっているのではないかと。
お時間ある人はどうぞ全部読んでくださいませ。
どうしよう。何から書き始めていいのか、さっぱりわからない。
今はまだ自分の感じていることをうまく言葉に出来なくて、むしろ言葉にしてしまうことによってこの気持ちの半分も表現できないんじゃないかと思うと、それが怖い。
でも、ともかく書いてみようと思う。
私はついにマチュピチュに出会った。
そして、すっかりと恋に落ちてしまった。
それもどうしようもない片思いだ。
クスコに到着していた時から続いていたドキドキはアグアスカリエンテスに電車が到着した時に更に高まり、そうしてバスに乗ってハイラム・ビンガムロードをくねくねと登って山頂に上がって入り口を抜け、遺跡を目指して階段を上っていた時なんか、もう気絶してしまうんじゃないかと思ったくらいだ。
山は、かなり急勾配。息を切らしながらその瞬間を待ち、そうして徐々に開けてくる視界。

私の夢がひとつ、現実になる瞬間。これまで他のどんな場所に行く時も、こんな風に嬉しいような苦しいような気持ちになった事はない。あまりにも憧れすぎてしまって、そこに行きたくてスペイン語を始めて、そう、多分私はもうずっと前からこの場所と恋におちていたんだと思います。だからこそ、それが現実になってしまう事がこんなに怖くて、「いつか行きたい」が「行った事あるよ」になってしまうのが寂しくもあって、「でも会いたいし!」と、うだうだと初恋におぼれた女子中学生のように余計な事で頭をいっぱいにして、でも、そんな私の想いとは関係なく、何の容赦も躊躇も出し惜しみもなく、それ、は目の前に現れたのでした。
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アンデネス(段々畑)からの風景。正面に見える山が、ワイナピチュ。

視界いっぱいに広がる、アンデスの山々。山の間を走っている、聖なるウルバンバ川。そしてその山を覆うようにして広がっている、無数の石造りの建物たち。
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ウルバンバ川。絶壁に張り出しているマチュピチュが見えます。

500年もの間この空中にひっそりとあり続け、そしてこれからもここにあり
続ける空中都市。インカの人々がここで暮らし、生活し、今私が見ている光景と同じ光景を見ていた。私が立っているこのアンデネスで野菜を作り、穀物を育て、季節の移り変わりと恵みの中で家族を育んでいた。そう考えるだけで体の底から突き上げてくるような震えが全身に走った。風がとても心地よくて、このままこの冷たく透明な風に乗って飛んでいってしまいたいような気持ちになった。動きたくても目が釘付けになってしまって、足が動かなくていつまでも見つめていた。そして、ふと振り返ったらたくさんのリャマやアルパカたちが同じようにアンデネスの上で草をもくもくと食べていた。なんて神聖な生き物なんだろう。その目は大きくて深くて、インカの歴史を彼らも見続けてきたんだろうな、と思った。

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野生のリャマやアルパカが、アンデネスをうろうろしています。


ああ、ついに来た!
そう、そしてこれは誰もが感じる事なのかもしれないけど、なんだろう、この懐かしい感覚。前にもこの場所に立っていた事があるような気がするのは、何故だろう。
帰ってきた、そう思った。気づいたら「ただいま」と小声でつぶやいていた。
アンデネスをくだり、市街地に通じる正門を抜けてマチュピチュの中に入る。そこで人々が暮らしていた家々が立ち並び、石切り場があり、ぴったりと意思が寄り合わさった神殿がある。目を閉じてみると、本当にインカの人々の息づかいまでが聞こえてくる気がします。この下界から隔絶された街の生活の「音」が聞こえてくるよう。

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居住区の中の家。一軒一軒は本当に小さく、こじんまりとしている。


360度山に囲まれた、この街で彼らは日々何を思っていたんだろうな。こんなに、空と太陽に近い場所で。そんな事を考えながら街を歩き回り、石の壁に触ったり、ほら穴をのぞいたりしていたら想像が膨らみすぎて目がくらんでしまった。今日は日曜日でオフシーズンな事もあって、夕方になるとマチュピチュからは殆ど人がいなくなった。(マチュピチュからクスコへ向かう電車は17時くらいが最終のため、マチュピチュのふもとにあるサンクチュアリ・ロッジもしくはアグアスカリエンテスで宿泊する人以外はみんな午後15時くらいには帰らなければいけないのです)聞こえるのは、風の音、鳥の声、虫の羽音。
マチュピチュ、独り占め。
なんとダイヤモンドみたいな贅沢な時間でしょう。
と、その時。信じられない事が起こったのです。
晴れた雲の切れ目、青空と山々の狭間に、
七色の、虹。
スーーー、と現れた。
美しい半円を描き、七色よりももっと複雑なグラデーションになっているその巨大な虹は口をあんぐりあけている私たちの目の前にしばらくその姿を現していた。もう、言葉にならなかった。
だって、虹の七色はインカ帝国の象徴なのだから。
インカの人々は、こうして虹を見ながら自分たちの平和を、自由を、願ったのかな。
そう思ったらなんだか泣けてきた。
虹はまた、現れた時と同じようにスーーー、と消えてなくなった。
私は草の上にねっころがって、太陽の暖かさを感じていた。
これが、私がマチュピチュと出会った一日目の物語。
一生忘れられない日となった。

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マチュピチュにかかる虹。神話的光景。


そして本日私たちはアグアスカリエンテスに泊まっています。ここは日本でいったら箱根とか熱海みたいな、ちょっとひなびた温泉街的なところ。というよりアグアスは水、カリエンテスは熱いという意味なので、街の名前自体が「温泉」なのですね。実際にここには温泉があって、私も水着を着て入ったのですが、これがまた結構すごい体験となりました・・・。いやはや。ここの人にとって温泉というのは癒しの場所じゃなくて、遊んで、はしゃいで、ナンパをする場所なのか・・・・。ともあれ、こんなペルーの山奥で、ぬる~いお湯に使っているのは、なんともいえない妙な気分。


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と、これでまだ一日分。(笑)
何の変更も加えてません。書いたまんま。
手がいたくなるほど一気に書きまくったのを覚えています。
二日目に続きます。