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お台場のノマディック美術館で開催されているグレゴリー・コルベールの展示Ashes and Snowにやっと行くことが出来ました。

圧倒される空間でした。坂茂設計の無数のコンテナを組み合わせて作られた空間は、美術館というよりはひとつの舞台というか、劇場みたいだと思った。イスタンブールで行った古い地下水路を思い出させる照明と、地上にいるのに地下深くにいるような気分になる暗さ。
作品について。
別にこれはNational Geographicが作ったドキュメンタリーではないのだから、自然や動物を対象にしているからといっても、あくまで「アート」。アートといってしまうとなんだかチープに聴こえるけれど、つまりそこにはよくも悪くも明確な作り手の「意図」のようなものが介在している。見る側が何を求めるかによるけれども 少なくとも私は1枚の絵として、1つの映像として 非常にInspiring だと思ったし、それで十分じゃないかとも思う。
同時に、これが例えばいっそ、限りなく写真に近い絵画であったなら また印象は全然違ったに違いない、とも思う。(実際、写真にしては美しすぎて絵だといわれた方が納得するものも多かった)そうだとしたら、もうちょっと素直に彼が表現したいものを受け入れられたような気がしてしまうほど。

こんな風に描くとネガティブに聞こえますが そういう意味ではなくて本当にすごい作品の数々です。この一瞬を切り取るために、どれだけの時間が費やされたのだろうと思う。
美しく、そして孤独。自然界というのは音で満ち溢れているはずのものなのに なぜか映像からも写真からも一切「音」が聴こえない。無音。どの作品も密度が濃くて 濃縮された空気を吸い続けているみたいな良い疲れ方をしました。グレゴリーコルベールの自然観をひたすらにどっぷり浸らされた時間。

自然、動物、人間、というテーマを写真という手法で伝えるということ、主観と客観、というものについてあらためて考えさせられた展示。いろいろな意味で、面白かった。

今月24日までです。まだ間に合います!