一周一周年。
ひたすらに海に囲まれて水平線を眺めて暮らしていた101日間のことをよく思い出す。
あの星空がたまらなく懐かしくなって あの狭い船室を思い出して
目を瞑れば今もこの固い足元がふわりと波に揺らぐような
クラクラするような気持ちに襲われる。

最近もう一度船に乗らないかというありがたいお話を頂いて真剣に考えた。
誘われたクルーズは久々の南回り、憧れの南極やイースター島を訪れるもので、いまにも「行きます」と大声で言ってしまいそうな自分との戦いだった。行きたい。本当に行きたい。
一体どれだけの素晴らしい体験が待っていることか。
でも、駄目だ。と、必死で自分に言い聞かせる。

陸から離され、日常から話され、海の上を漂う100日間、
それでも得られるもっと大きなもののために
皆何かに区切りをつけて旅に出るというのに
こういう風に思うのはなんと贅沢な言い訳なのだろうと思うけれど。

今の私にとっては自分自身の航海も半ば、目的地はまだ水平線の彼方、
嵐や高波に負けないように、羅針盤をしっかりと見つめて舵を取るべき時。

進むべき海は、今立っているこの場所にある。
乗るべき船は、他でもない私自身。目指すのはありたい自分だ。

だから今は違う。きっとその時じゃない。

船から下りてちょうど1年間、あの日の横浜港から
今日この日まで一体私はどれだけ前進出来たろう。
行けども行けども何も見えなくて
碇を降ろせる場所もなくて
そのうちに何を目指しているのか分からなくなって
けれどかけがえのないあの日々は紛れもなく
私のメインエンジンとして今もまばゆく輝いている。

いつかまた、全身に吹き付けるあの潮風を感じられる日が来るだろうか。