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先日こんなことがあった。
道を歩いていたら、すれ違ったカップルの会話が聞こえた。
本当に一瞬だったのですが、女の子は確かにこう言っていた。

「・・・さー、つちのなかにななねん・・・・」

つちのなかにななねん。

そのたった10文字の言葉が聞こえただけなのに、
私は女の子が何について話しているのか、そしてそのテンションから
どういうことを言おうとしているのかを完璧に、完全に理解したと思った。

無論、この時期あちこちに横たわっているあの方々の話です。

「だってさー、土の中に七年もいてさー、地上に出てから一週間しか生きられないんだよーそれって超切ないよねー!」

とかなんとか言おうとしていたのだ絶対に。

そう、確かにセミの生態は切ない。7年の暗闇の中の子供時代の後の、
打ち上げ花火みたいなたった7日間の成虫時代。
この時期本当にあちこちにセミがつぶれて転がっている。
うちの猫もよく「今月分お納めします」といわんばかりに加えて持ってきていた。
しかしだからといってセミが同情されるべきかわいそうな存在かというと
そうでもないと思う。

そもそも「つちのなかにななねん」というたった10文字で、
その存在の感じ全てが語れる生き物なんて他にはあまりいない。
すれ違った他人がその10文字を言っていただけで、
会話の内容がわかってしまう、それはすごいことである。

「7年も土の中にいて、1週間しか生きられない」
というセミの生態について、一度も口にしたことがない人は果たしているだろうか。いないんではないだろうか。へたするとみんな毎年1回は言ってるんではないだろうか。

みんな、セミの話をしてはそこになんらかの「生」に対する哲学的な意味や禅的な学びを見出そうとする。それは「忍耐は大切である」かもしれないし「青春のきらめきは短いからこそ美しいのだ」かもしれない。
そんな昆虫は他にいない・・。
クモとか、働き蟻とか、ネガティブな感じに語られる昆虫が多い中で、あらゆる人がその生き方について語り、思いを馳せ、何かを学び取り、それを毎年口にし続ける生ける伝説。いいじゃん!!かっこいいじゃん!みんなに嫌がられながら長生きするゴキブリとか、セミがうらやましいと思うよ!
それに7年7日生きられるって、昆虫としては超長生き!
土の中が暗くてつまらなくて、地上が輝かしくて楽しいなんて、誰にも分からないものです。彼等がギーギー鳴き叫んでいるのは、無理やり大人になってみたものの、あのぬくい暗闇を懐かしく思って戻りたいよ~って言ってるからかもしれないわけで。

・・・って、なんで私はこんな事を熱く長々と書いているのでしょう・・・。

まあいいや。

セミのことはセミにしか分からない。

私が書いたのもTHE・余計なお世話としか言いようがないです。

人間も10文字で語れるくらいシンプルな
存在になれればいいかもしれない。

うまれていきてしぬ。

あ、10文字だ!(句読点を含む)

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先日、実家の庭で父親が羽化の瞬間を激写したセミ。
キレイな色・・・。自然界の色は、絶対絵の具では作れない。
こんなキレイな色に一瞬でもなれるセミはやっぱり幸せだと思う。