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なんだかやることが多くて、気づいたら昨日もおとといも誰にも会わず何の予定もなかったので、ただの一言も言葉を発することなく家で仕事をしていた。今日も同じで、引きこもり3日目ともなるとさすがに口も心もコチコチに凝り固まっていくのが分かる。そうなってしまうと、もう何も楽しくないのだ。何のインプットもなく作業をしていられるのは2日が限界だ。ぎゃーと叫んで走り回りたいくらいの気分になったので今日は出かけることにした。でもいきなりたくさんの人と会ったり遠出したりするのが怖いとすら思えてしまうくらいコチコチだったので、こっそり映画を観にゆきました。
This is it.マイケルジャクソンの本当は行われるはずだったロンドンでのコンサートのリハーサル映像をまとめたドキュメント映画です。全世界2週間限定公開らしい。ネタバレというよりも、ただの感想です。


もうこの世にいないマイケルが画面の中では生き生きとすばらしく格好よく動いていて、開始1分で泣けて泣けて仕方なかった。平日の夕方なのに映画館はいっぱいだった。
どうしてこんなにすごい人がもうこの世にいないんだろう。
いったいどんだけすごい人を世界は失ってしまったんだろうと思った。
この人にインスパイアされない人は世界のどこにもいないんじゃなかろうか。

全編を通して、マイケルのライブを良い席で鑑賞しているようだった。
でも、なんか変だった。
本当だったらその姿を見て、その歌を聴いて、熱狂して立ち上がって手を振っているはずの観客である私たちはただひたすら無言で 静かに涙を流しながら
画面を見つめているだけなのだ。

私は特に大ファンだったとか死ぬほど好きだったとかCD全部持ってるとか、そういうわけでは私はなかった。でもまだ小学生の時に彼の踊りを見て鳥肌が立ったことを今でも覚えているし、ほかのどんな有名人に対しても抱かない特別な感じをずっと持っていた。好きな歌もたくさんある。そしてそれ以上に彼を愛し、崇拝し、彼に近づくために死ぬほどの努力をしている人たちがいる。
彼と同じステージに立てるというだけで泣いてしまう人たちが山ほどいる。
彼自身がいろんな人の夢、憧れそのものなんだな。

映像としてもマイケルの記録としてもとてもよく出来ていて、一体どれだけの人の濃密な想いと一生をかけた夢がこの公演に注がれていたのかということ、どれだけマイケル本人がその公演を楽しみにし、こだわり、使命感を持って行おうとしていたのかがリハーサル映像からでもグイグイ伝わってきた。
リハーサル映像だから、「素のマイケル」がいっぱい見られたのもうれしかった。彼はとてもよくLOVEという言葉を使う。
自分の思い通りになっていない部分をスタッフに指示する時
「これは愛だよ、愛のために僕はこう言ってるんだ」と
言っていた。

だからこそ、これほどのものが、実際には世に出ることなく、永遠に消え去ってしまったということを実感して、恐ろしすぎて残念すぎて鳥肌が立った。リハでこんなにすごいんだから・・。
単純に、せめてこの公演を成功させてから逝きたかっただろうなあと心から思う。マイケル・ジャクソンという人間がもたらしたもの、伝えたかったメッセージ、何より愛は消えないけれど、それどころかますます広まっていくんだろうけど、彼が作りだすステージならば、それは実現していたとしてもしていなかったとしても、どっちにしろ有無を言わせず伝説になっていただろうと思うのだ。

彼の歌と踊りと言葉は、ここ数日で縮こまっていた私の心にはあまりにも
鋭く刺激的すぎて、終わって帰って来てみれば
映画を観たというよりも お通夜に出席したような気分。

世界とエンターテイメントの神様に愛されていた人のお通夜。