2004年08月25日 カナダの壁男 なにを待っているわけでもない なにを求めているわけでもない 空気のように 壁のように 寄り添って ただそこにたっている2M以上の大男が2人 カナダケベック州の町はずれ ただの大道芸人なのに 10年近くたっても全然忘れられないから 何故か思い立って描いてみる。
2004年08月21日 と、コップさん コップさん。 中身によって表情はくるくる 怒りのトマトジュース 美白の牛乳に日焼けのカフェオレ 切ないサイダー 恋するカクテル 絶望のコーヒー タフに見えますが、後頭部はちょっとひび割れてます。
2004年08月18日 ”パンと人形”サーカス団 ”パンと人形”サーカス団 へたくそな軽業師に 猛獣のような猛獣使い 高所恐怖症の玉乗りに 内気なピエロ 忘れっぽい空中ブランコ乗り 口の悪い腹話術師 1つしか芸のないマジシャンに 影の薄い団長 それは どこか未完成なものたちが集まった どこか未完成なサーカス テントもぼろぼろ 今にも切れそうなロープ 出来そこないのサーカス団 けれど たったひとりお客がいれば サーカスの幕は上がる あなたの為に 幕は上がる 舞台の上には 未完成なひとときの夢 どこにでもあるありふれた そしてどこにもない奇跡 幕が下りたら 後には何も 残らない
2004年08月18日 今日のらくがき マジシャン 箱入りのマジシャン 彼女が出来るマジックは 1つだけ のこぎりで切られて 身体はバラバラ 箱をあければ ほら、元通り! のこぎりで切られて 身体はバラバラ 箱をあければ ほら、元通り! のこぎりで切られて 身体はバラバラ 箱をあければ ほら、元通り! それだけを毎日繰り返す そのうちなんだか気に入って 箱は彼女のベッドになった 気分が乗らないそんな日は 彼女は箱から出てこない
2004年08月16日 今日のらくがき 腹話術師 口の悪い腹話術師 人形は いつでもぺちゃくちゃ 誰かの飼っていた猫が風邪ひいたとか 客の1人がどれだけ嫌な奴だったとか 生きるってなんて変なことなんだとか その口は閉まることがない 彼の技術は素晴らしく 彼自身はサーカスに入ってからというもの ひとことだって喋っちゃいない。 本当は彼が人形で 人形が彼なんじゃないかと 皆こっそり疑っている
2004年08月12日 今日のらくがき 団長 背は高く 黒い燕尾服にシルクハット 金ボタンに ピカピカの革靴 どこからどうみても 完璧なサーカスの団長 だのに 存在感がいまいち足りない団長は 舞台にいるのに気づかれず ゾウにマントのすそを踏まれ いつも皆の後ろで 静かに微笑んでいるばかり 誰よりサーカスのことを考え 誰より皆を想っている団長 「あら、どちらさまでしたっけ?」 忘れっぽい空中ブランコ乗りは いつまでたっても団長の顔を覚えられない
2004年08月12日 今日のらくがき 空中ブランコ 物忘れのはげしい空中ブランコ乗り。 女はいつも、ブランコからブランコへ飛び移るタイミングを間違える。 3年前にブランコから落ちて ひどく頭を打ってからだ。 それだって本人はもう覚えていないけれど。 一番困るのは本番の最中に 自分が何をしているのだか分からなくなってしまうこと。 壊れた時計の振り子のように 吊るされた女はいつまでもそのまんま。
2004年08月09日 今日のらくがき ピエロ 内気で泣き虫なピエロは舞台に上がるのがが苦手。 めずらしく客が20人ほど入ろうものなら、すっかりあがってしまってミスばかり。箱の中から消えられないで、笑われれば涙をぽろり。 なぜ彼がピエロになったのか、 それを誰もしらない。 泣き虫ピエロは本を読むのが大好き。 一人で考え事をするのが大好き。 今日もピエロは険しい顔で 幕が上がるのを待つ。
2004年08月09日 今日のらくがき たまのり 高所恐怖症の玉乗り。 たまのり人生の最も出来事は、その大きな球によじのぼったこと。 だけど降りられない、高所恐怖症のたまのり。もう降りられない。 サーカスの幕が下りてからも 球の上で眠り、球の上で食べ、球の上で恋をする。 ぐらぐらと頼りない、まんまるな球の上で眠ることの方が球から降りることよりよほど大変だってこと。 そこにたまのりは気づかない。