Denali's Room 一語一絵

旅と猫とあんことスイカを愛する絵描き、デナリこと大野舞が日々をつづっています。

2004年09月

img20041011.jpg「たとえば、それがプラハ城の前でも、夢の中でも、あなたの机の引き出しの中でも」

「忘れられない限りはね」と、マジシャンが付け足しました。

リーは、こうしてサーカス団と出会いました。
へたっぴな彼らの芸を、道ゆく人は誰もみていません。
こんな変なサーカスを、見たいと思っている人がいるなんて、思えませんでした。
けれど、リーはとてもおもしろそうだと思ったので
しばらく彼らについていこうと決めました。

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「どうも」

ぬっと現れたのはサーカスの団長。そこにいた事にいままで気づきませんでした。
リーは尋ねました。
「プラハで興行中なの?」

「わたしたちは”パンと人形”サーカス団。ひとりでも観客がいるところにはどこにでも現れます。」

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看板には「BREAD&PUPPET」とあります。

後ろからたまのりもあらわれました。

ゆらゆら、ゆらゆら けれどなんだかブルブル震えているたまのり

「そんなに怖いんだったら、降りてくりゃいいのに」マジシャンは言いました。
それでもたまのりは決して降りてこようとしませんでした。

リーは、球の上にいるぶんだけ、もっと良い景色が見られるのじゃないかな、と思って
うらやましい気持ちになりました。

正門に立つ衛兵の前を通りかかったとき。
どこからともなく、アコーディオンの音が聴こえてくる。
陽気な、けれどどこか悲しくなるその音。
いつかどこかで聴いたような
それでいてはじめて聴くような。

「バラバラになっても、ほら、もとどおり!」

道端で芸をしていたのは、ちょっとへんてこなサーカス団。
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img20041006.jpg進め 進め 振り返るな 
振り返った後ろに未来はないのです

まずは扉を開けましょう
そして未来を紡ぎましょう
鍵はかかっていないから

引き続いての黄金小路
赤い壁に緑の扉
ねんがらねんじゅうクリスマス
地べたに座り込んで描きとめる


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ほの暗い塔の底には
外の音が全く届かない

ひんやりと冷たい カビくさい空気
外から差し込んでくる光はとてもまぶしくて

この中から外を見てきた多くの人の
心と一体になったような気持ちになる
暗闇の中にいたならば
一筋の光が生きる理由になったりするんだろう

時間を忘れて、しばし過ごす。

壁には虫がいました。img20041004.jpg
肢のながーい、虫。

ワタシが写真ととったらわさわさと
どこかへ行ってしまいました。

世の中、おかしな偶然で
なりたっているものです。

もしくは これは
カフカなのかもしれません。

img20041004.jpg三兄弟と別れ、ふたたび一人旅。出会いと別れ、それが旅。どこかでまた会える。それを信じるしかないのです。
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ここはプラハ城の中、武器屋や防具屋もあったりするおとぎ話に出てきそうな黄金小道。錬金術師たちが住みついていたことからこの名前がつきました。

そしてこの青い家、これが作家フランツ・カフカのかつての作業場。この中で寝たら次の日には虫になってしまっているかもしれない。
と、思ったら。
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その国でしか食べられない本場の料理を食べるのは、楽しいものです。
三兄弟が連れていってくれたのは「ウ・カプラ」という名前のレストラン、
そこで兄弟は魚のクリームスープを
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ワタシは、ものすごく分厚いハムやダック、チェコ名物のザウアークラウト(キャベツの甘煮)やクネドリーキ(もっちりしたパンみたいなもの)を食べながら身体ひとつで転がっていくことは、どういうことか、という兄弟の旅の話を聞いたのでした。

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「里帰りしてたなんて、知らなかったわ。あなたたち、3日として同じところにいないんだもの。」

「これから、またブリュッセルのほうまで転がっていかなきゃならない」と、オー・ダマ。
「ごめんなさいね、でもせっかくだから、お昼はご一緒しない?」と、チュー・ダマ。
「もにゃもにゃ」

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