森の人は生まれたときから
一歩も森の外に出たことがない
森の外からやってきた人とであったこともない
森を出たいと考えたこともない
森の人は森の人の暮らしをし
ウサギや鳥、木々と語らいながら
森の外にどんな暮らしがあるのかを
知ることもなく 疑問に思うこともなく
そのうちに森のための苗床になる
かわいそう?
誰だって 似たようなものなのに
あなただって私だって 似たようなものなのに
ごくごく狭い 自分を取り囲む世界の中で
生まれ、生き、死んでゆく
森の人と、一体何が違うというのか
自分が何を知らないのかを
知らないままに死んでゆけるのならば
それはとても幸せなことではないでしょうか?