「もしもし下北沢」本日2010年9月25日、単行本が発売になります!
(電子書籍は1週間後の10月1日です)

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本を手にとってじーっと見ていると、
なんともいろいろこみあげてきます。

連載は1年間でしたが、その前にいろいろアイデアを考えてた時間を入れたら2年くらい、私の暮らしはもしもし下北沢一色でした。最初にメールを頂いたときのとびあがりそうになった気持ちを一生忘れることはないと思う。暗い感じのところに光が差してきた感じだった。その後主人公のよっちゃんと同じように下北沢に越して、暮らして、勝手にものすごく自分を重ね合わせて絵を考えていたと思う。誰より何より、私がこの物語に救われていたと思う。

ばななさんの小説はこれまでの私にとってずっと「扉」だったけれど、今回の場合は「鍵」をもらった気がするのです。物語の、そして自分の中の扉をあけるための、鍵。煮詰まったり苦しんだりしている時も小説をじっくり読みかえしたら描きたいものがふってくるように分かったり、ずっと魔法にかけられているような感じが何度もありました。

至らない点も、力が足りなくて悔しいところもたくさんあって、ばななさんにはたくさんご迷惑をおかけしてしまい、それでも大切な作品の世界を私に丸ごと委ねてくださったこと、いつも一番近くで、その果てしなく大きな力とやさしさで私の元気ガソリンを満タンにしてくださったことに、ただただ、感謝です。言葉に出来なくてどう言ったらいいのかもう分からなくて、叫んでしまいたいくらい。本当にありがとうございました。そしてずっと温かく支えてくださった毎日新聞のみなさま、絵の感想を下さったみなさま、ありがとうございました。

これから土曜日にソワソワしながら新聞を取りに行くことがないのが寂しい! 緊張して開けない時とかあったなあ・・・。朝イチで取りにいったくせに、ずっと机の上に置きっぱなしにしてみたりとか。笑
まだまだ原画展もあるし、第2回のフリマもあるし、何せ来年のカレンダーももしもし下北沢なので、まだまだ頑張ります^^)魔法は私の中では一生消えないと思う。
単行本、是非是非ご覧下さい。不思議なことに、1年間絵もかかせてもらって、お話も全部隅々までわかっていて、ブックデザインもしているのに、ばななさんの新刊!ということでやっぱりテンションがあがって、まるでこれから初めてお話を読むみたいな気がします。
1つに凝縮されたものは、また違うものなんだ。ワクワク。

といいながら、私自身は今日、本屋さんにいかず、ばななさんたちにご一緒させていただいて、ギリシャ、ミコノス島に行ってきます。唐突だ!発売日が旅の出発日だなんて!きっと今日本屋さんにいったら緊張して入り口でうろうろしてしまって、私が怪しい不審者になってしまうので、やさしい運命の計らいでしょう・・・。

春のベルギー・フランス以来の海外。とっても、とっても楽しみです。今3時、始発のNEXでいくのでこのまま寝ないでいこうと思います。

旅の前にはいつもそうするように、目をとじて。
深く深呼吸して。
神経をとぎすませて、呼吸を整えて。
そうして新しい世界のことを考える。
そこで流れる非日常時間に想いを飛ばして、エスカレーターに乗るときのようにタイミングをはかりながら、そっと、足を踏み出すのだ。

いってきます!