koko
部屋においた桃の花が咲いてきたな~と思ったら、あっという間に満開。
植物はすごい。春は特にそう思う。みている間は動かないのに、みていない間にちょっとずつしかし確実に成長して、ふと目をやると劇的に変化している。春は特にそう思う。だるまさんがころんだみたい。

Before とAfterの「あいだ」が一番不安定で、魅力的で、恐ろしい魔がひそんでいると思う。
「変化してしまったあと」じゃなくて「変化それ自体」の段階。

夜から昼になる間の、昼から夜になる間の、たそがれの時間。
眠りに落ちる前の半分おきて半分寝ながらゆらいでいる、あの時間。
腐る直前の甘い果物や肉。
革命の前と後。

どういう視点で切り取るかの違いであって、本当は1秒1秒変化してないものなんて、何一つ存在しないんだけど。でもそれは「相対性理論で止まって見えてるものも宇宙からみたらものすごい勢いで動いているんです」と言われるのと同じくらい、事実であっても日常の中では実感するのは難しい。

夕焼けだったりはスピードが速いから、みるみるうちに、という変化を体験できるけれど、植物だったり、髪の毛だったり、爪だったり、季節だったり、ゆっくりな変化そのものを目にすることは難しい。気づくと変わっている。「常に結果だけがある」世界なのです。(キングクリムゾン・・・?)
そもそも人間生まれた瞬間から日々死にむかって変化の最中なわけなんだけれど、それこそもっとゆっくり。人の心をざわつかせるのは、死そのものではなくて、きっとその変化の瞬間。

その魅力的かつ不思議で恐ろしくもある状態のしっぽを少しでも捕まえられるかと、じーっと見つめてしまう。
それでも、みている間は、絶対に動かない。爪も、髪も、芽も。
絶対に、みんな「いま、みられてるぞ!」って息をひそめて我慢していると思う。

だしぬけるかと、ふいにすごい勢いで振り向いたりしてみても、みている間はいつでもぴたっと止まっている。

やっぱりだるまさんがころんだだ!