「視覚」はビデオや写真で記録に残せる。「聴覚」は録音すれば残せる。
でも「におい」はどうだろう。
その時の「におい」を瞬間的に永久冷凍保存できるような
ものって、ないんだろうか。前に何かで五感のうち、
人間が一番長く記憶に残せるのは嗅覚だって何かで読んだ。
それって、外部に残しておけないからそうなってるのかな。
私は「におい」に敏感なほうだと思う。
友達の家のにおい。
6歳までしか住んでなかった保土ヶ谷の家のにおい、
もうしんじゃったひいおばあちゃんの家のにおい、
アラスカのにおい、メキシコのにおい、タイのにおい、アイルランドのにおい。
アラスカは山と雪のにおいで、メキシコは蒸したさつまいものにおいで、
タイはもち米のにおいで、ダブリンはコーヒーとみずたまりのにおい。
それから、SFCのにおい。(覚えていたいかどうかはともかく)
たまに今、そういうかつてかいだことのあるにおいがどこからか
ただよってくると。「あ、あのときあの場所でかいだ」って思って、その時みたものや
一緒にいたひとや食べていたものを全部思い出す。
においはとても主観的なもので、全く同じにおいでもなんとも思わない人も、
涙が出る人もいる。
人間の感覚の中で、一番デジタル化が難しいものじゃないのかな。
においをデータベースにして、好きなにおいを写真のアルバムみたいにいつでもかげたら、って思うけど
それは嫌だな、と同時に思う。頭の中にしか残せないものこそ、ほんとうに覚えていようと努力するし、
装置になってしまったらつまらないかもしれない。におい=その人の記憶、だから。においを全部覚えておければ、日記をつける必要もないのかもしれない。におい日記。
でも、広告でもにおいがついていたりするし
結局はにおいの分子が鼻のねんまくについて感じているものだから、デジタルになってしまうのかな。
誰か教えて。
そうそう、昨日生まれて初めての体験をした。それは「舌がつる」という事。
うれしくもなんともない、むしろ恐怖。ジュースをストローでのもうとしたら、つった。
舌がいたい、って手足がつるのとは全然違う。口の中がねじまがっているかんじ。
一人で四苦八苦したけど、泣きそうだった。舌も筋肉なんだなあ。
多分、想像を絶する変な顔をしていたから、誰もいなくて良かったと思う。