akasuri.jpgアカスリってやったことありますか。私は生まれて初めて体験しましたが、まさか人生であんなに無防備に他人に体を洗われる行為だとは思ってもみませんでした。カルチャーショックに近いものがありました。「体内美容」が推奨され、脂肪吸引とか、ケミカルピーリングとか、美容科学がどんどん発達している今の社会においてアカスリとは「タワシのごときものでひたすらゴシゴシ体をこする」という、なんともアナログな健康法です。でもアカスリっていうネーミングはストレートで好感が持てます。
横浜スカイスパのサウナで、「生きるってなんだろう」「働くってなんだろう」と眼下に広がる横浜の夜景を見ながら抽象的物思いに浸っていた私の思考は、「ハジメテデスカー?!」と現れたおせじにも情緒的とは言えないタンクトップに上半身裸の韓国人のおばちゃんのまな板の上の鯉になって以降一気に物理的世界に引き戻されたのでした。
痛い!まず、痛いです!!!私はアカスリというのはもっとマッサージ的な癒しの時間だと思っていたのに、それは間違いでした。そもそも肌っていう柔らかいものをあんな亀の子ダワシみたいなものでガシガシこすっていいんでしょうか。確かに見るとポロポロ垢らしきものが出てみるみたいですが、汚れだけでなく「表皮」とか「真皮」とかそういう部分まで削られているように思え、身も蓋もなくおばちゃんに翻弄されている私はきっと彼女にとってはただの「物体」なんだろうなあ、とぼんやり考えていました。

痛みに耐えかねた私は途中から肉体と精神を切り離そうと努め、来週作る調査報告のパワーポイントの構成等を考えてみたところ驚くほど功を奏し、うまいこと気持ちよくなってきたところでまた肉体と精神のつながりに気づいてしまって悶える、ということを繰り返すこと数回。
天国と地獄の間をさまよい、「オワリデース」の声が聞こえたときの気分は夢見心地とは程遠く、「やりとげた」という戦場から戻ってきた男達のような達成感を感じるのみでした。
終わってみれば体中ツルツルピカピカ、冷え性なのにお風呂からあがってもずーっとポカポカしていて、とても良い感じなのですが、あの痛みとこのツルピカを天秤にかけたときにもう1度やりたいと思えるかどうか。
何にせよちょっとやみつき感のある不思議体験でした。
行きなれている人にはなんてことない話ですが。アカスリをする場合は心構えが必要です。