suba.jpg年末というものは
死ぬほどダラダラするために
死ぬほど忙しくなるという 矛盾に満ちた時期であります。
それにしても今年は極端だった。
ああこれで仕事納め、と思ってからがフルマラソンくらい長かった・・・
けれどなんとか、今年も数日間だけは完全にダラダラする準備が整い、逗子にて観覧車の如き小林幸子を横目に2007年最後のこの記事を書いています。

(ますます太ったスバル君はまたフェルト化して、
年明けには再び丸刈り決定です。)

自分の中での「今年の漢字一文字」は何か、という話を先日していて
自分の中に自然に浮かび上がってきたのは「猛」でした。

フリーのイラストレーターとして活動をはじめた最初の年。
イノシシ年にふさわしく、猪突猛進的に走りきった1年間。
正しい道を走ってきたかどうかなんてわからない。
むしろ何度も道を間違えて、引き返しては必死に進みなおして、の繰り返しだったようにも思う。
でも、走った。村上春樹的に言えば、少なくとも最後まで歩かなかった。
そこには後悔も妥協もなくて こんな風に言い切れる年は珍しい。

いつも大晦日には「もう1年経ったのか!」と時の過ぎるスピードに愕然とするのだけど、どういうわけだか今年はそう思わなかった。それくらいいろいろな事があった。1月にマチュピチュに行き、4月にシンガポールに行き、5月に山梨でキャンプをして、8月に富士山に登って、9月に熊野古道を歩いて、11月にパリにいった。ジムに通いはじめて運動するようになって、1年で体脂肪率も4%くらい減らした。(体重が全然減ってないのが悩みなんですが)仕事も本当にありがたいことに途切れず忙しく、自分の部屋ではない場所で自分の絵を目にする機会も増えた。なぜか絵でなく文章を書かせて頂く機会も多かった。

そして何より8月にやった最初の個展。はじめてはいつでも最初の1回だけだからそういう意味でも一生忘れられない年。多くの人に支えられ、なんとか小さいけれど確かな一歩を踏み出すことが出来ました。個展のすぐあとにBOOK246での展示、そしてカフェアンノンクックでの展示もやったので、短期間で展示を3つやったことになる。個展の絵を使おうと思っていた2008年のカレンダーも、結局ほとんど描きおろした。

今年は、本当にたくさんの絵を描いた。
多くのたくさんの新しい出会いと繋がりにも恵まれた。
何かにつけ足を運んで下さったり、応援してくださる方が多くて感謝の海で溺れそうになることばかりだった。

そして今までになく「絵を描くこと」と真剣に向き合った年でもあった。当たり前だけれど、会社の仕事と両立してやっていた時は出来ていたいろいろな言い訳が出来なくなった。
絵を見てもらう機会が増えれば増えるほど、
支えてくれる人たちの優しさの大きさを感じれば感じるほど
自分のちっぽけさばかりが際立つ気がして
泣きたくなるくらいの嬉しくなる反面 自信がなくなって不安が大きくなって
不安定になったり、感情の起伏が激しくなったりすることも多かった年でもあった。
ただでさえ不安定なのに、夏には真夜中家に不審者が侵入してくるというトラウマティック体験も重なってますます変な状態になった。

求められているものを作り出せているかどうか。
ちゃんと自分が要求しているだけの価値のあるものが出来ているのかどうか。
何も描きたいものが思いつかなくて、白い紙に何時間も呆然としながら向かってみたり、家に帰りたくなくなって時間をつぶしてみたり、意味なく泣いてみたり人に当たってみたり周りに迷惑をかけたと思います。
そういう事を考えること自体が甘え以外の何物でもないというのに。
私がいるのはまだ、長い道のりのほんの入り口付近で
うじうじ迷ったり、悩んだり、そんなことをしている場合ではないのに。

自信があるとかないとか、そんな事で悩むのは勘違いだ。
私には、私に出来ることしか出来ないのだから
言い訳をする前に 何かをやってみせろ、自分。
名前も、年齢も、経歴も関係なく、
一個の人間として揺らがない何者かになってみせろ。

だから来年は、もっと描きます。ただ、描きます。
旅もします。仕事も頑張ります。
私に出来ることを、ひとつずつ、精一杯、やっていきます。
目の前の階段を、一歩ずつ。
間違えたら、分岐点まで戻ればいい。
戻れない道なら、突き進んでしまえばいい。

他の誰を甘やかしてもいいけれど、自分だけは甘やかさないこと。

「甘えない。甘んじない。」

それが2008年の課題。

このままの自分でいいのかなあ、なんて最大限の努力で最大出力で生きている人が言える事だから。そうなって初めて胸を張って支えてくれる人にまっすぐにありがとうと応えられる気がするから。

2007年の1年間、未熟な私を応援してくださった方々、
当に本当にありがとうございました。

来年もどうぞ宜しくお願い致します。
2008年も良き年でありますように。

2007年12月31日 23:00 デナリ
(描き始めたときには小林幸子だったのに、気づけば和田アキ子が聴こえる)