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昨日会った人たちと話していた時に、「明日人生が終わるとしたら、その前日の朝ごはん、昼ごはん、夜ごはんに何を食べたいか」という話になった。ちなみに私たちは全員食いしん坊なので、よく「好きな野菜ランキング10」とか、そういう意味も意義も終わりも答えもない話を延々としている。くだらないのだが、実はそういうところに「本当のその人」が見えるような気がして面白いのだ。朝ごはんは人生の最後に、ごはんがいいのか、パンがいいのかというところとか。
いろんな答えがあったけれど、感覚としては「好きな野菜ベスト10」よりは意見が分かれなくて、あまり意外性のある答えにはで出会えなかった。
ちなみに私は

朝:カリカリのパンとフレッシュジャム(フレンチトーストでもいいかな)、たっぷりの野菜、目玉焼き、ヨーグルト、ミルクたっぷりのカフェオレ
昼:カレーとチャイ(スパイスの効いた。そしてナンライスはおかわりし放題だ)
(おやつ:豆大福)
夜:お寿司、冷奴、納豆、あら汁
(夜食:いちご大福)

みたいないたって普通な感じ。意外に麺類は登場しない。
最後の日だから、食べ過ぎたっていいんだ!
その場に居た4人全員が「夜は和食」だったので、日本人であることを実感。

ああ、しかし最後の最後には美味しいワインを飲みたい気もするな。むむむ。
お寿司と赤ワインは合わないからなあ。じゃあ、次の本当に最後の日の朝ごはんにチーズとワインを持ってくるかな。
と、本当にとりとめもないんです。でも考えちゃうんです。

で、この写真は私がずっと住んでいた三軒茶屋にあったお気に入りだった喫茶店のモーニング。これはかなり私にとっての「最後の日に食べたい」イメージに近かった。
この喫茶店は本当に素敵で、トトロが住んでいそうなけやきの木の下にあって、蔦がからまっていて、そして店内にはジャズがながれ、仲がよさそうなご夫婦がいつでもテキパキ働いていた。ごはんも昔ながらで美味しくて、本当によく通った。働いていたときは週末の朝ごはんを歩いてここに食べに行くのが楽しみだった。引っ越してしまってからあまり行けなくなって寂しく、先日本当にふと思い立って、久しぶりに朝ごはんを食べに行った。

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ずっと変わらない店構え。
ドアを開けるとからんからんと音がします。


しかし行ってみてびっくり。ドアには「今月末閉店」の文字。
本当に驚いた。だって私が生まれる前からこの店はここにあったのだ。
しかも私が行ったのは1月末の、まさにその数日後に店が閉店してしまうタイミング。

何かに呼ばれて「間に合った」という感じだった。

お店のご夫婦も私を覚えていてくれているので、なくなっちゃうんですか!と私が聞くと、まるでそんなのなんでもないことのように奥様がにっこりと、そうなのよ、と笑っていて、私の方がよっぽど焦っていた。

寂しいな。
頻繁に行けなくなっていても、あの店があそこにあるというだけで
私はその街に訪れる理由が十分すぎるほどあったのに。
あのご夫婦が一緒にお店をやって、のんびりてきぱきと働いている姿を
見ながら朝ごはんを食べることはもう出来ないんだな。

とおもったら無性に悲しくなった。
街も人もどんどん変わっていくのです。変わらないものなんてないのです。
だから今この時に、目の前にあるものは全て大事。

いままでありがとうございました。
取材とかメディアに載るとか、そういうの全部断っている店だったのだけれど、最後だと思って頼んで写真を撮らせてもらったのでした。

昨日の話は実際は起こりえない、ただの仮定の話のような気でいたけれど
よく考えたら

人生が終わらなくても、その店が終わってしまうのなら
そこで食べる朝ごはんは「最後の朝ごはん」になるんだ。

あれは、最後の朝ごはんだったんだ。