Denali's Room 一語一絵

旅と猫とあんことスイカを愛する絵描き、デナリこと大野舞が日々をつづっています。

カテゴリ: book

hyoushi

今年もカレンダーの季節がやってきました!
デナリカレンダーもついに10冊めです。どんなことであっても10年続けられたというのはひとつの区切りのような気がして自信にもなります。もはやカレンダーづくりは人生の一部のようになっているので、これからもずっと作り続けたいと思っています。

今年のテーマはプリミティブリズム、原始のリズム。単純なのですが2013年は出産というとても原始的かつ根源的な体験をしたということもあり、シンプルに生きるってすごいなー人間ってすごいなーと思ったので、そんなことをテーマに考えてみました。つわりで泣きながら今年の「タロットめくり」を描いていた頃が懐かしいです(笑)。今年からは状況が違うぞというのは産前からわかっていたことなので、年明けくらいからコツコツ考え着手しておりました。カレンダー作りをしていると、とにかく1年あっという間です。

今の私の全部をこめた2014年度カレンダー、見て頂ければ嬉しいです!
ということで、予約受付開始します!

詳細、お申し込みはこちらから。

いつも受付をしていてとても嬉しいのがメッセージ。1冊めからずっと使って下さっている方もいれば、今年のから、去年のから。何年の○○から使っています、と書いてくださっている方。ギフトにしたり、トイレで毎日眺めています!と書いてくださる方や、もう使えないカレンダーも子どもの絵本にしています、という方もいて。とっても励みになっています。カレンダーって生活に寄り添うものなので、使ってくれる人の時間の一部になっているんだなあと思うことが、一番幸せな瞬間です。

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10年来の盟友、駒崎弘樹がまた本を出したのでその宣伝をば。「働き方革命」。前作「社会を変えるを仕事にする」に続いて2冊目。
彼が代表を務めるNPO法人フローレンスのロゴ、フロレンコちゃんは私がデザインしております。思えばフローレンスがまだ生まれる前、「こういうことをやろうと思っている」という話を湘南台のジョナサンで聞いてからずいぶんと時間が経ったなあ。その日から彼はひとつひとつ、有言実行していって、最近ではいきなりテレビに出てきて私を驚かせたりする。大学時代にアホなことばっか一緒にやってた仲なので、どうしても今のかっこつけてるバージョンに違和感を感じつつ(笑)、いつも良い刺激をくれる私の大切な仲間です。会う度に成長していて、見ていてオモシロくかつ尊敬できる友人というのはとても貴重だし、逆に私自身もまわりにとってそういう人間でありたいと思う。
「働き方革命」は病児保育からワークライフバランスとその専門分野を広げた彼の、これからの社会でどう働いてどう自分らしくあればいいかという洞察が語られております。是非ご一読あれ。駒、ジャンルは全然違うけれど、これからもお互い頑張っていこっ。
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いつだったか何かのためにデザインした、フロレンコちゃん
ジャンヌダルクバージョンです。育児休暇の権利のために戦ってます。

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旅が好きと常日ごろから言っている私ですが、旅人のバイブル、沢木耕太郎さんの「深夜特急」をしっかり読んだのって実は最近です。そしてもっと早くにその本に出会っていれば良かったと(正確には、出会っていたし開いてもいたのに、なんかその時はちゃんと読めなかった)後悔したのでした。そう思う人はたくさんたくさんいるんだろうけれど・・。

そして最近続編というのとはちょっと違うのだけれど、「旅する力-深夜特急ノート-」という深夜特急にまつわるいろいろなエピソードがまとめられた本が出たのです。今度は通勤快速なみの速度で読破!バックグラウンドや本に書かれていなかったさまざまなエピソードがたくさん紹介されていて、本編を読んでいる時のワクワクをまた思い出しました。
ただ旅そのものの本というよりは旅について書かれた本、だったので、あの本編を読み進めていた時の興奮とスリル、まさに一緒に旅をしているかのようなスピード感はなくて、「そうだったのか~」という冷静なテンションで読むようなものだったので「最終便」という名前がふさわしいのかどうか、はよく分かりません。それでも多くの学びがあり、中でも沢木さんが「旅」というものについて締めくくった、本の最後の一段落の言葉が、心の中でずーんと印象に残った。

ので、以下引用します。
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今日から10月!そして今日から3週間(つまり22日まで)
インド式デトックスウィークに突入することにしました!

と、この場で宣言。
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「社会を変える」を仕事にする(駒崎弘樹著)

大学時代の仲間の一人が本を出すことになりました。
もっと早くお知らせしようと思っていたのに、遅くなってしまった。
彼は現在、NPO法人フローレンスという団体の代表として忙しく活躍しています。
病児保育を柱としながら、最近は随分といろいろなフィールドに活動を広げてきているみたいです。あまりに多くの時間を共有してきて、映画撮ったりブルーハーツ熱唱したり馬鹿な事もいっぱい一緒にやってきた仲なので、メディアに登場してかしこまって話している彼を見るたびにやっぱりなんだか笑ってしまうけれど。

なんでしょうね、同年代が頑張っているのを見るときの、この心地よい嬉しさと焦り。(私の個展の告知を彼がblogでしてくれた時、似たようなこと書いてくれてるのがおもしろかった)

そして「本が出る」という話を聞いたとき、私はすぐに3年前のある日のことを思いだしたのでした。
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31716538.jpg中学1年の時からの友達、もう10年以上の付き合いの友人が本を出版しました。彼女とは部活(美術部)でずーっと一緒で、夏休みに由比ガ浜で砂像を作るコンテストに参加して毎日真っ黒になるまで砂を削ったり、美術部合宿で天城で濃い時間を過ごしたり、アホな漫画を一緒に描いたり、本当に多くの時を一緒に過ごしたと思います。
私は昔から彼女の繊細なのに力強い絵が大好きで、ずいぶんいろいろな刺激と影響を受けました。彼女に出会っていなかったら今の私の絵は違うものになっていたと思うのです。
今はイラストも描きながらライターとして活躍していますが、その彼女の初のエッセイ本がこのたび新風舎より出版されました。沖縄大好きな彼女が自分の旅体験をまとめた、イラスト満載、沖縄気分満載の、見ているだけで旅をしているような気分になれる素敵な本です。
そんなわけでイコマユキコ「沖縄トリップ」
のご紹介でした!
今はあまり会えませんが、いつか一緒に何か作れたらいいね、と話したりしています。

あー、また石垣島行きたくなってきた。

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心に残る本、が好きな本とは限らない。
好きで、何度も読み返したい本があり
心に残って、決して忘れられないのに、もう読みたくないと思う本もある。
重松清の「疾走」は私にとっては後者でした。
ずっと読みたいと思っていたので、文庫になったと同時に購入。
「疾走」のタイトルの通り、一気に読み終えた。
そういえばあまり見かけない「おまえ」という二人称の語り口に
最初は感じていた違和感が 語りかけられているうちに
「おまえ」が「わたし」になっていくのが分かった。
どうしようもなく「ひとり」であることを理解していながら、
それでも「誰か」と繋がりたいと思わずにはいられないにんげん。
「言葉」に勝手によりかかって勝手に解釈して勝手に絶望、もしくは希望を見出すひらがなのにんげん。

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img20050628.jpg高校生の時に読んだ忘れられない本です。難病で全身麻痺になった元雑誌「ELLE」の編集長によって書かれています。何一つ動かせない身体なのに、思考はクリアであるという悲劇。彼はそんな自分の身体のことを「重たい潜水服」のようであると書いています。愛する家族が目の前にいても、何も語りかけられない苦しみ。幼い娘に微笑みかけることすら出来ないもどかしさ。

それでも彼は、物語を綴りました。唯一出来るまばたきを20万回以上繰り返して、気の遠くなるような長い時間をかけて。冷たい身体に閉じ込められた意識が、季節を感じ、支えてくれる人を思い、その入れ物を去る直前まで綴った暖かい言葉たちは、その悲しい物語をむしろ幸福な物語に見せています。

「自分には何が出来ないか」ではなくて「自分に出来ることは何か」を考えたい。
どんな時でも前向きに。

なんで10年近く前に読んだ本について 今書こうと急に思ったのか分からないけれど、きっと今日の私は潜水服ではないですが、鉛の洋服を着ているようで 起き上がれなかったからだと思います。



img20050311.jpgなんて淡々と絶望を語るのだろう、と思う。
何気ない日常の言葉に安心していると、気が付いたら真っ暗闇に引きずり込まれていそうだ。「僕の中の壊れていない部分」の方が洗練されている印象を受けたけれど、このデビュー作も頭に残ります。

文体は全然違うのに、この人の文章は何故か村上春樹の文章に似ているといつも思う。喪失感と絶望、それから光と。村上春樹が描く「井戸」というモチーフが似ていると思うからかな。
「ねじまき鳥クロニクル」の中で深い井戸の闇の底から空を見上げて、一日の中で一瞬だけ上から井戸の底まで差し込んでくる強烈な光を感じる場面がある。そのたった数秒間の明るさを待つことが人生の意味であり、全てと悟るような感覚。それがこの「一瞬の光」で描かれているものにすごく似ているように思いました。

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ley6m78t.JPG「白い巨塔」(原作を読んでドラマは最終回しか見てない)以来、山崎豊子にはまってしまって今読んでいるのは「沈まぬ太陽」。
この人の本を読んでいて本当にすごいと思うのは、ある特定の年代の特定の事象についてすごく深く掘り下げている物語なのに、結果としてそれが出版されてから20年以上たった今の時代にもマッチしているところ。それってつまり、業界の中身なんてそうそう変わってないって事だろうか。医学界にしても、航空会社界にしても。最初白い巨塔読んでたときなんて、途中から完全に「現代」を描いていると錯覚してしまって、文章の中に「給料が3万円」とか出てきてて「え、教授なのにこんなに安いわけ?!」とか混乱してしばらく気づかなかったくらいだ。
ただ、「沈まぬ太陽」に関しては今だったら違うだろな、と思うところがある。
主人公の恩地が、(ちなみにこのひと、里見と財前もそうだけど名前が結構その人を表すみたいになってる事多いよね。恩地のライバルは行天、だし)テヘランやカラチ、ナイロビなどの僻地を10年もたらいまわしにされているにも関わらず、絶対に「会社を辞める」っていう選択肢を考えてないところ。会社の都合で流刑にされて、家族にも迷惑かけまくって、それでも会社をやめるわけにはいかない、と常に考えてる。終身雇用が当たり前だった社会に書かれた本だけど、今だったらここまでされたら「もういいや、辞めてやる!」ってすぐに思うんじゃないかな。全く変わってない部分と、変わってる部分。そこを考えながら読むのがおもしろい。

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